2008年の音楽ベスト Vol.5

◆J-POP その2◆

 ・中島美嘉 / Orion
ドラマ 「流星の絆」 のエンディング・テーマだった曲。ドラマは、兄弟が戸神パパを犯人だと思ってからオチまでが驚くほど酷い内容だったけど(笑)、それまではクドカンらしい悪ノリもあってけっこう楽しめた。東野圭吾の本は読んだことないんだけど、あんなオチでもミステリー作家と名乗ることができるのか。。。しかし、あの程度で人気があるなんて、ちょっと信じられない。まあ、この本がたまたま駄作だったのかもしれないけれど。

東野圭吾のことはさておき、この曲を聞くと、彼女がデビューした頃のことを思い出す(デビュー曲もタイトルが星、”Stars” だった)。彼女がデビューした2001年は、浜崎あゆみが全盛を極めていた頃で、中島美嘉は和製ディーバの流行に乗りつつも、浜崎あゆみ、すなわちエイベックス的なるものへのアンチとして出てきたようなイメージがあった。少し言い換えるのであれば、J-POP に歌謡曲的なものを復古させようという動きみたいなものを、彼女のデビューの背景に感じたことを覚えている。



エイベックス的なるもの、その確立を用意した(素地を作った)のは、昨年に逮捕された小室哲哉が手掛けた一連の tk プロデュース群だろう(エイベックス以前に、ビーイングが既に確立していたのかもしれないが)。僕が普段読んでいるブロガーさんたちの多くは、ほぼ一様に彼の逮捕を悲しんでいたんだけれど、僕にはその気持ちがあまり理解できなかった。皆さんが評価する TM Network を通っていたら、その気持ちを僕も理解できたかもしれないが、TM Network で聞いたことがあるのは、「シティハンター」 や 「逆襲のシャア」 といったアニメで使用されていた曲くらいだ。"Beyond The Time" は、ガンダムのテーマ曲らしいスケール感や曲の終盤で入ってくるサックスとキーボードの絡みが好きでよく聞いていた。



しかし、僕が音楽を積極的に聞き始めたころ、テレビやラジオで流れていたのは、「ディスコ+カラオケ÷2」 というゴミクズのような方程式で作られた曲だった。まあ、実際にそんな方程式を元に楽曲を作っていたわけではないだろうけど、ヒットの秘訣はと聞かれて、こんなことをポロっと言ってしまえる tk の薄っぺらい感性そのものが嫌いだった。テレビで流れるサビの部分だけはそれなりに形を整えて、あとは適当に作っているとしか思えない曲を量産するミリオンセラーの奴隷、小室哲哉にはそんなイメージをずっと抱いていたので、金の絡んだ詐欺容疑での逮捕は、僕にとっては至極納得のいく罪状だった。

浜崎あゆみに話を戻すと、彼女はその後、自己プロデュース力を強めていき、エイベックス的な楽曲からは少しずつ離れて、独自の世界を追求していくんだけど、オリジナリティを獲得しようとすればするほど、反対に音楽の質そのものは劣化していくという、当人に自覚があるのかはさておき、はたから見ると恐ろしい状態が進行し、現在に至っている(実際に売り上げも下降していると聞く)。そのため、その存在は未だにエイベックスの看板であるものの、現在の彼女の音楽がエイベックス的なるものの象徴かというと、やはりズレが生じているのは事実だろう。

そして、この状況を理解していると思しきエイベックスは、ここにきて戦略を原点回帰へと舵を切った(ここでいう原点とは、tk プロデュース全盛期ではなく、tk が落ち目になり出したころ、つまり tk 以後のことだ)。そのことは、昨年にエイベックスが大々的にデビューさせた Girl Next Door を見れば、誰の目にも明らかだろう。このグループには、エイベックス的なるもののパーツがこれでもかというほど張り合わせられている。



その浜崎と同じように自己プロデュース力を高め、エイベックス的なるものを突破したミュージシャンがもう一人いる。安室奈美恵のことだ。彼女はここ数年、アメリカのR&Bの模倣を徹底して重ねることで、USメジャーのリアリティをJ-POPシーンに持ち込み、独自の地位を築くことに成功していた。そして、昨年のヴィダルサスーンとのコラボレーションで、自身の再ブレイクを決定的なものにした。ただ、浜崎あゆみの場合、安室奈美恵とは違って、エイベックス的なるものを突破したというよりは、エイベックス内に自治領を築いている、と言った方がより正確な状況かもしれない。

安室奈美恵の再浮上は、上記のような理由もあるのだが、もうひとつ重要なことがある。それは、女性が女性芸能人を評価するにあたっての評価軸に変化が起こっているということ。単純に言ってしまうと、ある程度以上 「カワイイ」 ことが前提で、浜崎あゆみを評価するキーワードを 「キレイ」 とするなら、安室奈美恵を評価するのは 「カッコイイ」 というキーワード。前者のキーワードは、今も生きているし今後も残るのは間違いないけれど、それと同時に、同性からの評価を獲得する上では、後者のキーワードもまた女性芸能人にとって、今後さらに重要な要素となってくるはず。また、浜崎あゆみの人気下降の原因は、音楽性の変化以上に 「キレイ」 でなくなってきていることかもしれない。そういえば、エイベックスには "エロかっこいい姉" と "エロみっともない妹" がいるな(笑)



中島美嘉のことを書こうとしたら、小室哲哉や浜崎あゆみ、安室奈美恵のことも書けるなーということで、話がやたらと脱線してしまった(笑)。上に書いた自分の認識が正確かどうかはさておき、僕にとって中島美嘉は、宇多田ヒカルのように圧倒的な才能をもって出現したという人ではないんだけれど、なんとなく期待を感じさせてくれたシンガーなんですよね(結局、僕の期待した流れは生まれなかったけれど)。どこか陰を感じさせる声も好きです。

しかし、こういう交通整理的なことって、書いてる時は気持ち良いんだけど(射精だw)、後で読むと寒いよなー。。。記事ごと消そうかとも思ったけど、今後の戒めとして残しておきます(笑)

漫画ベストに続く・・・
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by bigflag | 2009-01-12 10:57 | ・音楽 - 年間ベスト | Comments(10)  

Commented by shooter at 2009-01-12 11:52 x
「流星の絆」ダメでしたか。私は話のオチはともかくとして、はじめて見た二宮君の演技が迫力あって、予想以上に楽しめました(ファンの贔屓目かもしれませんが)。

あと中島美嘉は、デビューした時から華原朋美の出来損ない、みたいなイメージしかない人なんですが、この人はちょっと方向性がよく分からないですよね。アラン・トゥーサンみたいな人と一緒にやったかと思うと、「NANA」みたいな俗っぽいこともやってみたり。中でも今回の「流星の絆」は最大の謎じゃないでしょうか(タイアップの為なのかもしれないけど、あまりにも・・・)。そこら辺の迷走感が、今の微妙な感じに帰結しているのかなと。
まぁ私も "orion" は意外に好きですが。
Commented by bigflag at 2009-01-12 12:09
いや、ダメなことないですよ。兄弟が戸神パパを犯人だと思ったあたりまでは楽しんで見てたので。二宮君の演技は最後まで良かったと俺も思います。

中島美嘉については、方向性が迷走していることは同意です。なので、デビュー当初に期待をしたということ、歌声が好きという程度のファンに納まってます。普通のありがちなバラードを歌っている時が好きです。むかしはハウス歌謡とかもやってたんですけどね。

しかし、華原朋美の出来損ないみたいなイメージ、はないですねー。ちょっと意外な人物です。プロデュースされる人間に振り回されている、という意味では似ているのかな(笑)。
Commented by sattyra1017 at 2009-01-13 20:23
いつも楽しく拝見させてもらってます。
TKに関するくだりには、まったく同感です。思春期のころの反抗するべき対象として、最適でした。

浜崎あゆみに関してですが、統計的な売上げの下降に反して、一部の層(主に田舎のヤンキーですが)への求心力は増してるよう思えます。あくまで、自分の生活・職場環境から分かる小さなフィールドワークに過ぎませんが、音楽的にエイベックス的か否かは関係なく、近いうちに反動めいた再浮上がくるような気がしています・・・。
Commented by bigflag at 2009-01-13 23:16
>sattyra1017さん
はじめまして。コメントどーもです。小室哲哉の下りは思春期の記憶をほとんどそのまま書いてます。まあ、その当時のステレオタイプの意見なので、同じように思った人もそこそこいるのだろうと思います。あとは、あえてtk としているところを読んで頂ければ(笑)

浜崎あゆみに関しては、sattyra1017さんの感じてはるところが、ライブ映像を見ると何となく分かるような気がします。ちゃんと見たことがないんで、何となくですけども。
Commented by nariyukkiy at 2009-01-16 01:51
何気に中島さんはよく聞いている僕です。
”FIND THE WAY”と某アニメとのシンクロはすごかった。
あ、orionもドラマとのシンクロがよかったり噴飯モノだったり忙しい曲でしたね。(本人出演の「私歌ってたから」がorzポイント/ニノの台詞にかぶってがよかったポイント)

結局、中島さんは無難な感じが無難に当てはまり、演技が出来ないのに無理をしたり、ロックじゃないのにパンクしてみたり(NANA)するとダメなんですよ、きっと。

あ、雪の華(RDRMIXもかなりいい。)
Commented by bigflag at 2009-01-18 01:35
>nariyukkiy さん
ドラマのことをちょっと書いてはったんで、そうなのかなーと思ってました。演技ができないので、あんな役をもらったんだろうけど、完全にそれがアダとなってましたよね(笑)。

「雪の華」 はオリジナルしか聞いたことないので、RDRMIX は気になります。ファンというにはちょっと浅すぎるので(アルバムさえも聞かない)、その存在すら知りませんでした。
Commented by chome_inc at 2009-01-18 19:14
リアルタイムで読んでたんですけどちゃんと書きたいと思っていたら、
コメント出来ずじまいだったのでまとめてさせてもらいます(笑)

浜崎の自己プロデュースと音楽クオリティーの反比例、マジで同感です。そして安室の返り咲き、ほんとに劇的ですよね。ただ思うのは、たしかに以前よりもカッコ良いという評価軸は強いものになってきているんですけど、世間から安室への評価ってやっぱり「安室ちゃんカッコ良い」よりも「カワイイ」と思うんですよ。例えば彼女がよくカバーになっている雑誌SWEET・FINEの写真の撮られ方は「かわいく」って感じに見えるんですよね。まぁ大人カジュアル=カッコ良いに近いものがあるのかな?ですませていますが。w

>J-POP に歌謡曲的なものを復古させよう
な・・・なるほど・・・。僕なんかはぼーっと見てて気づかなかったですねぇ。いまの迷走感はさすがに感じ取れますけど(笑)

でも、あの影のある表情、好きな女性のルックスのひとつではありますw
Commented by nariyukkiy at 2009-01-18 22:17
>雪の華(RDRMIX)
レゲエディスコロッカーズのリミクス(ReggaeDiscoRocker’sFlowerMix)はFlowerRecordのコンピBeautifulVoicesに収録されています。(http://www.flower-r.com/news-old.htm)
なかなかナイスなラヴァーズに仕上がっていますよ。
Commented by bigflag at 2009-01-19 00:18
>chome さん
そうですね、日本で一番支持されるために必要な要素は、やっぱり "かわいい" ことだと思います。まあ、その辺は俺も思いついたことをそれらしく書いてみただけなので(笑)

J-POP に歌謡曲的なものを復古させようと、レコード会社が本当に考えていたのかは分かりませんけどね。当時、俺がそう感じたってだけなので。そこまで戦略的だったかは分かりませんけど、多分そうなんじゃないかと。つっこまれると、だんだん自信がなくなってくる(笑)
Commented by bigflag at 2009-01-19 00:20
>nariyukkiy さん
あっ、レゲエ・ディスコ・ロッカーズの略だったんですか。なるほど、それなら聞いてみたい。レゲエのゆったりとしたテンポは、日本語と相性がすごく良いと思ってるので、そのリミックスはかなり期待できそうですねー。聞いてみます!!!

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