Moodymann 「Forevernevermore」 ('00)
メロディはより官能的に、グルーヴはよりドロドロなものへと変容し、「Silentintroduction」 と 「Mahogany Brown」 の前2作から更なる深化を遂げている。ヴォイス・サンプリングとサウンド・コラージュという KDJ の特徴的な手法もさらに多用され、より生々しいサウンドに。そして、音響には "くぐもり" がさらに加えられ、胸を狂おしく締めつけるような空気はより濃度が増している。
Moodymann の曲名には、Sunday や Wednesday といった曜日、そして People という単語がよく出てくるが、これは KDJ が無名の人々の日常生活を描写しようとしているからに他ならない。それも暗く深い穴に閉ざされたような日常についてだ。また、そうした日常を送る人々に対する KDJ の眼差しには、温かく愛がある。彼の作る音楽は決して明るいものではないが、祝祭的に感じるはそのためだ。KDJ は黒人だからゴスペルを使うのではない。彼のアティチュードがそうさせるのだ。その最良の成果が、前作に収められた 「Black Sunday」 と本作の 「The Thief That Stole My Sad Days」 である。(試聴)
by bigflag | 2009-02-22 00:28 | ・Club Music