暗黒大陸じゃがたら 「南蛮渡来」 ('82)

暗黒大陸じゃがたらは、1979年に江戸アケミを中心として結成されたバンド。結成当初は江戸&じゃがたらと名乗っていたそうで、その後、改名を繰り返し、最終的に JAGATARA となる。本作が 1st アルバム。

僕と JAGATARA の出会いは、ナンバーガールが 「Sappukei」 をリリースした頃のインタビュー記事の中でのこと。どの雑誌かは忘れてしまったんだけど、"Urban Guitar Sayonara" が JAGATARA を想起させる、というようなことをインタビュアーが言っていたと思う。当時の僕といえば、ナンバーガールにドハマりしていたこともあって、その記事にすかさず反応して本作を手に入れた。

その記事の中で、JAGATARA は聞いたことがないと向井は答えていたが、ニューウェーヴの影響を感じさせる "Urban Guitar Sayanara" に、インタビュアーが JAGATARA の姿を見たとしても確かに不思議ではない。というのも、本作で聞けるサウンドは、いわゆるニューウェーヴ・ファンクで、Gang Of Four や Pop Group、James Chance など、パンキッシュなファンクをやっていた同時代のミュージシャンと共振するものだからだ。そう、JAGATARA は 「Num-Heavymetallic」 を20年早くやっていたのだ。

A Certain Ration や 23 Skidoo など、ブログで何度か取り上げているように、ニューウェーヴ・ファンクは個人的なツボということもあって、本作もまた大好きなアルバムのひとつなんだけど、JAGATARA に強く惹かれる理由には、そうした形式的なものを越えたところにある。それを言葉で表現するのは難しいことだが、それは音や言葉に込められた密度の濃さや熱量の多さのようなもので、それこそリスナーへ感染するほどに力強いエネルギーが JAGATARA の音楽からは放たれている。また、バンドのフロントマンである江戸アケミが発する言葉の数々はどれも鋭く、そして孤独だ。

そうした感染力のある熱のようなものは、オープニングの "でも・デモ・DEMO" を聞けば即座に感じることができるはず。江戸アケミの "あんた気に食わない" という一言に始まり、次いでバリトン・サックスが咆哮する曲の立ち上がりからして、その印象は強烈。また、つんのめるような性急なスピード感の中、Fela Kuti の "Zombie" から拝借したギター・カッティングを中心に形作るアフロ・グルーヴは、ギリギリのところで全てが成立している、このバンドならではの危うさを感じさせ、そこには江戸アケミのパーソナリティの一面が凝縮している。有名なフレーズである "日本人って暗いね" など、ヒップホップでいうところのパンチラインが一曲の中に何個もあり、江戸アケミによる歌詞のインパクトも非常に大きい。JAGATARA の場合、拙い言葉を尽くすよりも、その音を聞いてもらう方が遥かに早いので、ニコニコ動画にアップされたライブ映像を見てもらうのが一番良いかも。まさにカオス!!!(笑)

向井秀徳は、都市生活者の孤独を "冷凍都市の暮らし" というフレーズで繰り返し表現しているが、M4 "タンゴ" にもそれと共通するイメージを喚起させる。時代は移ろえど、そうした感覚というのは、さして変わらずに存在するということなのだろう。しかし、繰り返される音と言葉が呪術的な "クニナマシェ" を聞くと、江戸アケミというのは、ある種シャーマンに近い存在だと感じる。ダブ処理された音響も格好良い。その "クニナマシェ" のライブ映像を YouTube にアップした人がいることに、ついさっき気がついた。感謝。

   

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by bigflag | 2009-08-17 01:14 | ・Rock / Folk | Comments(0)  

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