Gaby Hernandez 「When Love」 ('09)
Carlos Nino のプロデュース作というと、ジャズやヒップホップといったイメージが強いけれど、本作はすごくシンプルなフォーキー・ソウル。線が太いとは言えない Gaby Hernandez の繊細な歌声を最大限に生かすには、こうしたシンプルな楽曲が最も適しているとの判断があったのだと思う。しかし、こうしたフォーク路線が意外かというと、実はそうでもない。Build An Ark の 2nd 「Dawn」 を思い出せばいい。あの作品は 1st と比べると非常に地味な作品ではあったものの、良作なフォーキー・ソウルだった。つまり、本作は 「Dawn」 の延長線上にあるサウンドと言える。
ハープ、ヴァイオリンなどの弦楽器が奏でる柔らかで幻想的なメロディと、シンプルで味わいのあるアコースティック・ギターやピアノのメロディが、アルバム全編を通して美しく交差しているのが非常に印象深い。そこにリバーブをかけられた浮遊感のある Gaby Hernandez の繊細な歌声がそっと添えられている。シンプルなサウンドにしたことで、本作に関わる人々のスピリチュアルな感性をより際立たせる結果になったのではないかと思う。聞き手の心にゆっくりと染み入るメロディがとても美しい作品。アルバムのジャケットもイメージ通り。(試聴)
by bigflag | 2009-11-28 10:43 | ・Rock / Folk