2011年の音楽ベスト Vol.1

色々なベスト企画を見ていると、文章も<311>以降といった類の枕詞で始まり、そうした気分を反映するチャートがやはり目立つような気がします。個人的には、声に力のある音楽を体が欲したということはあって、そのときに頼ったのは、Gil-Scott Heron や Milton Nascimento、Otis Redding といったミュージシャンでした。

新譜は、ダブステップとチルウェイヴを中心に聞いていたんですけど、チルウェイヴはシンセポップ的な方向、あるいはウィッチハウスと呼ばれるゴシック調のものへ収斂していくものが多くて、前者は腰の弱さに物足りなくなり、後者は暗い音楽を避けたい気持ちがあって、途中から追いかけるのを止めました。そんな中、「続・年間通してベスト・アルバム選び」 というブログを通して知った、NRK (Nobody Really Knows) というアトランタのヒップホップ・クルーが作る音楽は、ヒップホップにチルウェイヴを取り入れたような音楽性がツボで愛聴していました。しかも、そのほとんどの音源がフリー・ダウンロードできるのだから驚きでしたね。現代進行形の音楽も相変わらず面白い。

一方のダブステップも、ポスト・ダブステップと呼ばれる音楽が隆盛になり、ますます拡散や他ジャンルとのクロスオーバーが進んで、もう何がなんだかという感じもあったり、正直よく分からなくなってますね(笑)。あとは、"ecrn award" の "90年代の俺ベスト" に参加したことがキッカケで、90'sリバイバルが個人的に起きたりなんかして、そんなこんなが反映されたベストになったかなと思います。では、まず、ベストのアルバム10枚 (順不同/アルファベット順) から。

◆Best 10◆
 1. Beirut / The Rip Tide
Zach Condonによるベイルートの3rd。ホーン・アンサンブルが醸し出す哀愁のあるサウンドは、相変わらず哀しくも美しいポエティックな世界観。故郷を歌った"Santa Fe"のこれまでにない軽やかさに救われる思い。

 2. Bugge Wesseltoft & Henrik Schwarz / Duo
ノルウェーのジャズ鍵盤奏者とドイツのDJ/プロデューサーによるコラボ作。互いの長所が相乗効果をもたらし、非常に秀逸な作品に仕上がっている。ECMを想起させる静謐なジャズ・エレクトロニカ。コラボ作らしい緊張感もあり。

 3. James Blake / James Blake
ポスト・ダブステップ・シーンの寵児、ジェイムス・ブレイクの1st。Joni Mitchell に影響を受けたという、SSWとしての側面が全面に出たブルーで静謐な作品。キーボードの持続音が効果的に使用された楽曲ではゴスペルをも内包している。

 4. Ogre You Asshole / Homely
日本の4人組ロックバンドの4th。CANを思わせるミニマリズムに、ウワモノに少しのAORをまぶしたサウンドは、飛び上がりそうで飛び上がらない人力飛行機を思わせる。本作のコンセプトは”居心地が良くて悲惨な場所”とのこと。

 5. S.L.A.C.K. / 我時想う愛
東京は板橋区出身のMCによる3rd。日々の刹那をこれまでになくメロウでソウルフルフルなトラックに乗せてラップしている。冒頭の"But Love"や"東京23時"を筆頭に、ヒップホップ・リスナー圏外にも届く音と言葉。

 6. Tyler Major / Alone In The Meadow Garden
冒頭で触れたNRKクルーによる作品。シンセサイザー、鍵盤、ドラム、ヴォーカル、ラップのいずれもが極端に平板化されているのが特徴だが、そこに奇妙でクセになる味わいがある。平凡なひとのためのストリート・ミュージック。

 7. Weeknd / House Of Balloons
カナダはトロント出身のエチオピア系男性シンガーの作品。Beach Houseの"Master Of None"や"Gila"をサンプリングしていたことによるインディロックとの親和性から、インディソウルとも呼ばれる。息苦しいほどの密室感が官能的。

 8. 奇妙礼太郎 / Golden Music
大阪出身のSSW・奇妙さんのソロ作と自身が率いるトラベルスイング楽団の作品を合わせた2枚組。忌野清志郎など様々なソウルマンに影響を受けまくりのサウンドだが、そんなことお構いなしに歌う姿は清々しく、また歓びに満ちている。

 9. 坂本慎太郎 / 幻とのつきあい方
ゆらゆら帝国の解散後にリリースされたソロ1st。「空洞です」で聞くことのできたAOR/ソウル色が全面に出た作品。AOR/ソウルといっても、坂本慎太郎というフィルターを通せば、それはそれはとても奇妙なシティポップスに仕上がっている。

 10. 透明雑誌 / 僕たちのソウル・ミュージック
台湾の4人組ロックバンドの1st。ナンバーガールに影響受けまくりのサウンドは微笑ましさすらある(笑)。これぞ初期衝動。ただ、作り手の人柄か、ナンバガのような尖りはなくて、そこはかとなく愛嬌が漂う。ナンバガ好きはこの指とまれ!!!


Vol.2 へ続く・・・
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by bigflag | 2012-01-10 00:16 | ・音楽 - 年間ベスト | Comments(0)  

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