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Ken Ishii 「Innerelements」 ('94)

93~94年までにR&Sからリリースされたシングルと、新曲で構成された初期のベスト盤。デトロイト・テクノから影響を受けた音楽家の中で、この頃のケン・イシイは他の音楽家と比べて、かなり異質な音楽を作り出していた。デトロイト・テクノに影響を受けた音楽家の多くは、エモーショナルな音作りに影響が出るんだけど、ケン・イシイの場合は、単純にシンセの音響面、あるいはカール・クレイグ/(デトロイト・テクノが影響を受けた)ジャーマン・エレクトロニクスの実験的な音作りからの影響が見られる。エモーショナルな側面を意識的に排除したのかは分からないが、ケン・イシイが作る音の響きの無機質さは、現在でも独特の個性を感じさせる。

この頃のケン・イシイは、ラリっている様子もないし、感情の高ぶりも感じさせないし、病的なものも感じられない(健康的なわけでもない)。唯一言えそうなことは、人の気配や感情をあまり感じさせないってこと。「Fluctuation」 や 「Flurry」 は、その単語の意味通り、それらを発見できないことによる、ちょっとした狼狽や動揺が表現されている。その狼狽や動揺は、人間からではなく、人気の無い建物や風景から放たれているかのようだ。伽藍としたビジネス街にひっそりと鳴り響く都市のBGM。(試聴/なんとなくExtraのPV

by bigflag | 2005-04-12 01:21 | ・Club Music  

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