Mr.Children 「深海」 ('97)

「実験的」 とも 「問題作」 とも評されるアルバムではあるが、デビュー以降、ミスチルが「実験的」であったことは一度もないと思う。しかし、このアルバムが 「問題作」 であったことは事実だろう。その時期、人気の絶頂にいたバンドが、これだけ陰鬱な雰囲気を持ったコンセプト・アルバムを発表した、という点において「問題作」であった。J-POP史に残るミスチルの傑作。

バンドの要である桜井和寿のスゴいところは、キャッチーなメロディを次々と作る 「職人技」 を持っていること、尚且つ、それを 「消耗しないこと」 が一番の才能である。そういう人間が作る曲だから、たとえ憂鬱な気分を曲にしてみても、キャッチーさが滲み出てしまう。そんなアンビバレンツな印象を与えられるところが、このアルバムの面白いところだと思う。事実、桜井のそうした気分とメロディ・メイカーとしての才能とが化学反応を起こしていたこの時期、傑作シングルを連発している。

こうしたアンビバレンツな魅力は 「Versus」 から 「Discovery」 まで味わえるが、その始めと終わりの2枚は、やや空回り気味でそこまで面白くはない。「Atomic Heart」、「深海」、「ボレロ」 の3枚が、桜井の意図せずして出た魅力を一番味わえる作品ではないかと思う。「Versus」 以前と 「Q」 以降では、それぞれ違う理由で、そうしたものが無かったり薄かったりする。

しかし、なんというか、暗い気分の時に出したアルバムのタイトルが 「深海」 とは、愚直なまでに素直な人ですよねえ。そこが魅力でもありますがw。あと、バンド名は桜井の書く詩の世界をそのまま表現してますよね。自覚的にそう名づけたのか分かりませんけど。このアルバムに収録されている 「名もなき詩」 がミスチルの曲の中で一番好きです。
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by bigflag | 2005-04-24 22:42 | ・歌謡曲 / J-POP | Comments(0)  

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