2006年 04月 16日 ( 1 )

 

シティ・オブ・ゴッド / Cidade De Deus ('02 ブラジル)

監督 : フェルナンド・メイレレス
原作 : パウロ・リンス
出演 : アレシャンドレ・ロドリゲス (ブスカペ)、 アリーセ・ブラーガ (アンジェリカ)、
     ドグラス・シルヴァ (リトル・ダイス)、 レアンドロ・フィルミノ・ダ・オラ (リトル・ゼ)、
     フィリピ・ハーゲンセン (ベネ)、 ジョナタン・ハーゲンセン (カベレイラ)、
     マテウス・ナッチェルガリ (セヌーラ)、 セウ・ジョルジ ("ニ枚目"マネ)、
     ダニエル・ゼッテル (ティアゴ)

1960年代後半から1980年代初頭までのブラジルはリオ・デ・ジャネイロ近郊の 「神の街」 と
呼ばれるファベーラ (スラム街) が舞台。リトル・ゼを中心としたストリート・チルドレンの抗争を
写真家志望の少年ブスカペの目を通して描く。

原作は自らが 「神の街」 出身の作家パウロ・リンスによる、300ページ、登場人物600人という
一大ノンフィクション年代記。映画化したのはブラジルCM業界の寵児フェルナンド・メイレレス。
第二のスコセッシと呼び声も高い彼は、このカルチャーを体現できる唯一の役者として、2000人
に及ぶスラム在住の子供たちをオーディションしキャスティング、6ヶ月の即興演技指導と4ヶ月に
渡るリハーサルの末、9週間ほぼオール・ロケーションでこの作品を撮り上げた。

<神の街>
1962~1965年にかけてリオデジャネイロ市西部ジャカレパグア地区で公営住宅団地として
建設された。1966年に住民の受け入れを開始するが、当時、リオ市内を襲った洪水の被災者が
同地区に移住し、その後、政府は市内に点在する約60ものファベーラから住民を移住させた。
6階建ての住宅団地を中心に木材の小屋が無秩序に囲み、現在は12万人の住人がいる。


こんなにスピード感のある映画を見たのは久しぶり。撮影スタイルを巧みに変えながら、
進行の緩急をつけるクールなカメラワークはかなりスタイリッシュ。タランティーノとか
ダニー・ボイルとかガイ・リッチー、ウォン・カーウァイあたりの影響を受けてそう。
しかし、たった130分で、よくこれだけの内容を収めたよなあ。場面や時代がコロコロと
変わるのに、見ていて混乱がなかったし、構成と編集がすごい。サンバにファンクにディスコにと
音楽もノリを重視した最高のセレクト。そして、連続するもの凄いバイオレンス描写。

オシャレ映画的要素で暴力シーンが和らいで見えるけど、この映画はファべーラの凄惨な日常を
受け手に対して、軽い調子で放り投げてくる。というか、本当にそんな調子で凄惨な出来事が
ファべーラでは日常的に起こるのだ。つまり、これは必然の表現である、ということ。まるで殺人が、
生の営みの一環なんだと言わんばかりの死の連続。なんだけど、死の連鎖というものは感じない。
ブツ切りの死が数え切れないほどに存在する街なのだ。安易なヒューマニズムを寄せつけない
物語に圧倒されてしまう。これは幼児的全能感を肥大させ続けた結果、破滅したリトル・ゼの
因果応報の物語では決してない。しかしながら、そんな渇いた死とは対照的なくらいにユーモアに
溢れたファべーラに住む人々の会話や生活。これもまたファべーラの日常なのだ。

硬派で社会性の強い本作のテーマを、ポップな演出技法を用いて娯楽性の高い作品に
仕上げていることに対して、「不謹慎ではないか?」 という問いに監督はこう答えたそうだ。
「ファベーラ自体が、ポップでユーモア溢れるところなのだから、仕方がないんだ」

“終焉の始まり”と銘打った最終章である80年代は、まさに始まりでしかなかったのだという。
2001年の撮影当時、シティ・オブ・ゴッドは3派に分かれて対立、戦争勃発間近の様相を
呈しており、ますます過激に手の付けようのない凶暴な街と化しているそうだ。
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by bigflag | 2006-04-16 23:45 | ・映画 - アジア / ブラジル | Comments(4)