カテゴリ:・Jazz / Latin( 37 )

 

Quantic & His Combo Barbaro 「Tradition In Transition」 ('09)

Quantic & His Combo Barbaro は、Will Holland が Flowering Inferno に続いてスタートさせた新プロジェクト。"異邦人の集団" と名付けられたバンドには、ストリングス・アレンジにブラジルの Arthur Verocai 、サルサ界のペルー人ピアニスト Alfredon Linares、という2人のレジェンドを迎えているとのこと。

2007年にリリースされた 「Tropidélico」 以降、ラテン・ミュージックへの傾倒がいっそう強まって、次々と良作をリリースしていたのが、いよいよ結実したなという傑作。キューバ、コロンビア、ブラジルなどのラテン・ミュージックと、アメリカのジャズやファンクを、クラブ・ミュージック/ヒップホップ的に再構築している。といえばそうなんだけど、アウトプットされたサウンドが、それこそポップスであったり、クラブ・ジャズであったり、非常に多面性があって、しかもそれらが自然に同居しているのが、本当に素晴らしいところ。「Tradition In Transition (移り変わる伝統)」 とは、このバンドを一言で表現する秀逸なタイトル。

流麗なピアノとストリングスが絡み合うクラブ・ジャズ風の"Undelivered Letter"、土着的な女性ボーカルとトロピカルなクンビア・ファンクの"Un Canto A Ma Tierra"、Kitty Winter によるサンバをカバーした "New Morning"、ラテン系のオッサンが突如、恋に再び目覚めてしてしまったようなコメディチックでファンキーなラブソングである "I Just Fell In Love Again" などを筆頭に、楽曲も粒ぞろい。 (試聴

   

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by bigflag | 2010-11-06 22:02 | ・Jazz / Latin | Comments(0)  

The Quantic Soul Orchestra 「Tropidélico」 ('07)

Spanky Wilson とのコラボ作 「I'm Thankful」 を経てリリースされた、The Quantic Soul Orchestra 名義での 4th アルバム。本アルバムの制作を前に、Will Holland はコロンビアへと移住したらしく、移住先のコロンビアのミュージシャンをはじめ、プエルトリコやパナマなどでも、現地のミュージシャンを迎えてレコーディングしたとのこと。前作 「Pushin On」 の不良っぽさはどこへやら、一気にラテン・ムード全開になったわけですが、そのとき自分が好きなものをストレートに表へ出す、という意味では相変わらずです(笑)。

本作の聞きどころは、コロンビア産のクンビア、ブーガルー、サルサなどのラテン色を打ち出した曲で、これまでになく情感豊かなサウンドに仕上がってます。その後の活動を思えば、コロンビア移住は Will Holland にとって大きな転換点になっているのは間違いないでしょうね。J-Live のラップを加えることで、実際よりも速度感のある "She Said What?"、酒臭そうなオヤジ声が乗るラテン歌謡な "Who Knows"、カリンバを使ったトロピカル調の "Father" あたりがお気に入り。(試聴

   

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by bigflag | 2010-10-22 00:00 | ・Jazz / Latin | Comments(0)  

The Quantic Soul Orchestra 「Pushin On」 ('05)

Quantic こと Will Holland による The Quantic Soul Orchestra 名義での 2nd アルバム。前作 「Stampede」 と同じく、ファンク色の強いクラブ・ジャズってことには変わりないんだけど、不良度がめちゃ上がってます。キャバレー臭が満載の非常にスモーキンなサウンド。"Introducing... The Quantic Soul Orchestra" というオープニングの曲名からも分かるように、自分たち音を見つけちゃったよって感じの (まあ、やってることは JB'S なんですけどねw)、疾走感のあるジャズ・ファンクをいきなりカマしてくれる。

続く、"West Pier Getdown" も中近東風味のミディアム・ファンクで新機軸を聞かせてくれる。さらに Alice Russell をフィーチャーした超ヘビーなファンクが投下されてと、かなり気合いの入った作品に仕上がってます。そして、極めつけが Mr. Scruff のカバーである "Get A Move On"。アレンジも Mr. Scruff に依頼しており、本気でカバーしに行ってますね。シビれがくるオルガン・ファンクに仕上がっており、オリジナル好きも納得の出来でしょう。(試聴

   

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by bigflag | 2010-10-15 00:17 | ・Jazz / Latin | Comments(0)  

The Quantic Soul Orchestra 「Stampede」 ('03)

Quantic こと Will Holland による The Quantic Soul Orchestra 名義での 1st アルバム。元々は、Quantic のライブ・プロジェクトとしてスタートしたそうなので、演奏は生が基本。クラブ系上がりのミュージシャンらしく、リズムは完全にブレイクビーツで、ファンク色の強いクラブ・ジャズ。「Apricot Morning」 にもゲスト参加していた Alice Russell が、本作においては3曲でフィーチャーされているんですけど、ボーカルレスの曲の方がずっと出来が良いのはご愛嬌(笑)

オープニングを飾るスピーディなファンクであるタイトル曲。トロンボーンをフィーチャーしたM2 "Raw Ingredients" のいなたさ。フルートが軽やかに舞うM4 "South Coastin' "のエレガントなファンク。ヌメリのあるギターと軽くダブ処理されたサウンドが秀逸なM8 "Terrapin" などは、非常に好印象。ただ、4Hero のカバーだけは酷く残念な出来。一方、キューバのシンガーである Beny More (ベニー・モレー)をカバーした "Babarabatiri" は、ラテンなブラス・ファンクへ秀逸にリメイク。(試聴

   

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by bigflag | 2010-09-25 19:13 | ・Jazz / Latin | Comments(0)  

The Five Corners Quintet 「Hot Corner」 ('08)

The Five Corners Quintet の 2nd アルバム。前作 「Chasin' The Jazz Gone By」 と同じく、Tuomas Kallio(トーマス・カリオ) によるプロデュース。1950~60年代のロックンロールやロカビリー、R&Bをジャズと融合する、というのが本作のテーマだそう。

とはいっても、トーマス・カリオがバンド結成時に設定した "1950~60年代のモダン・ジャズを現代的に再解釈する" というコンセプトも生きているようなので、演奏がより熱いものになっているとはいえ、クラシカルな雰囲気も保たれている。演奏に深みが増したというよりは、バンド・コンセプトが微修正されたという感じ。このようにレコーディング作品は、コンセプト重視で制作されているのだが、ライブではよりオーセンティックな演奏をしている。

印象に残るのは、アルバムに先駆けて EP でリリースされていた "Hot Corner"、"Easy Diggin’" や "Shake It"。それに加えて "Skinny Dipping" のような、本作に設定されたコンセプトをストレートに実現したアッパーな楽曲。前作以上に重視された管楽器のアンサンブルと走り気味のベースとドラムが、これらの楽曲に素晴らしいドライブ感を与えている。熱い演奏の中で、Timo Lassy のフルートが効果的に使われていることも印象的だ。ただ、前作の方が好きではある。(試聴

   

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by bigflag | 2009-07-09 23:38 | ・Jazz / Latin | Comments(0)  

Nicola Conte 「Rituals」 ('08)

ニコラ・コンテの 2nd アルバム。LTC や High Five を中心としたメンバー構成は、前作 「Other Directions」 と変わらないのだが、本作ではそれに加えて The Five Corners Quintet から Timo Lassy や Teppo Makynen、Gilles Peterson に見出されたジャズ・ヴォーカリストの Jose James (ホセ・ジェイムズ) などが参加している。

Nicola Conte 含め、ラウンジ上がりのプロデューサーが起用するヴォーカリストというのは、その多くが小綺麗な声をしているだけで、箸にも棒にもかからないようなのが多いという印象なんだけど、Jose James の起用は珍しく素晴らしい選択。本作にアフロ・キューバン色の強い楽曲が増えたことには、この歌い手との出会いによる影響も大いにあるのではないかと思う。

事実、Jose James の参加した3曲はどれも素晴らしく、中でも M2 "The Nubian Queens" は際立っている。煙をくゆらせたような Jose James の声にはどこか神秘性があり、その声が過去作にはなかったスピリチュアリティを楽曲に与えている。無論、Nicola Conte のようなプロデューサーが欲しがるセクシュアリティも兼ね備えているのだから、もうパーフェクトと言って良いだろう。Duke Ellington 作のアフロ・キューバン・ジャズである M12 "Caravan" もホセに歌わせておけば、と思わずにはいられない。

他のヴォーカル曲も悪くはないのだが、どうしてもお気に入りになるのは、Fabrizio Bosso らがバリバリに吹いている、ユーゴスラビアのトランペッター Dusko Gojkovic (ダスコ・ゴイコヴィッチ) 作の M8 "Macedonia" や、Nicola Conte オリジナルの M13 "Rituals" のようなインスト曲。陽が沈んでいくような黄昏を感じるアルバム・タイトル曲は、オープニングの "Karma Flower" と対になっているようで、Nicola Conte らしい少々キザな演出(笑)。どちらも幻想的なハープの音色が染みる名曲だ。(試聴

   

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by bigflag | 2009-07-06 21:07 | ・Jazz / Latin | Comments(0)  

Mario Biondi & The High Five Quintet 「Handful Of Soul」 ('06)

イタリアはシチリア島出身のヴォーカリスト、Mario Biondi (マリオ・ビオンディ) の 1st アルバム。本作のプロデュースは、Schema のレーベル・オーナーである Luciano Cantone (ルチアーノ・カントーネ) が担当。ただ、Schema よりリリースされているからというよりは、バックの演奏を High Hive が勤めていることを知って手に取った一枚。

アーティスト名義が、Mario Biondi と High Five Quintet のダブルネームになっていることからも分かるように、ここでの High Five はただのバック・ミュージシャンという扱いではない。Biondi が主役には違いないけれど、High Five メンバーのソロ演奏が必ずといっていいほど用意されており、アルバムを通じて各々の見せ場は十分で、彼らのファンが聞いても納得のいく作品に仕上がっている。収録曲の多くはいわゆるジャズ・サンバだが、その中でも印象的なのは Biondi オリジナルの M3 "This Is What You Are" で、ベースとパーカッションによる滑らかなグルーヴはアルバム随一。

そして、何よりも素晴らしいのが、まるで青空に一筋の真っ直ぐな線を引く飛行機雲のように伸びていく Fabrizio Bosso のトランペット・ソロ。彼が披露してきた数々のソロの中でも3本の指に入るのではないかと思う。ボッソの後にソロを取る、Nicola Conte の作品ではお馴染みのトロンボーン奏者 Gianluca Petrella も熱い演奏を聞かせてくれる。アルバムにはカバー曲が多数収録されているのだが、お気に入りは Al Kooper の "I Can't Keep From Cryin' Something"。(試聴



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by bigflag | 2009-06-27 17:28 | ・Jazz / Latin | Comments(0)  

High Five 「Five For Fun」 ('08)

High Five Quintet 改め High Five による 3rd アルバム。リリースは Blue Note から。Nicola Conte の 「Other Directions」 の影響が見え隠れしていた前作 「Jazz Desire」 と比べると、本作はもう少し豪快で大らかな作風に仕上がっている。そのため、Nicola Conte 経由で、この作品を聞いた人にとっては、やや男臭すぎるジャズかもしれない。ただ、この伸び伸びとした演奏を聞くと、本作の方が彼ら本来の気質に、より近い音楽性のような気はする。

M2 "Ojos De Rojo" や M7 "Inception" のような、Fabrizio Bosso (ファブリッツィオ・ボッソ) の高速トランペットが聞ける曲がやはり格好良い。相変わらずのスカっとした音色を放つトランペットは爽快で、夏の強い日差しのように強烈。前作を聞いたときには気付かなかったのだが、Daniele Scannapieco (ダニエル・スカナピエコ) はとても歌心のあるサックス奏者だということ。それは、アルバム中でズバ抜けて美しいバラードである M6 "Estudio Misterioso" を聞けばよく分かる。Nicola Conte のお抱えというイメージの強いバンドだが、本作はむしろ彼の作品があまり好きではないという人にお勧めしたい。(試聴
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by bigflag | 2009-06-24 23:04 | ・Jazz / Latin | Comments(0)  

Quintetto Lo Greco 「The Right Spirit」 ('07)

Lo Greco 兄弟によるイタリアのジャズ・バンド、Quintetto Lo Greco の 2nd アルバム。前作 「Snap Count」 からトランペットとピアノがメンバー・チェンジしているが、イタリアらしい颯爽としたハードバップという作風は変化なし。前作と同じ Schema からのリリース。

また、アンサンブル重視のサウンドも変わらないので、メンバー・チェンジによる変化は正直なところよく分からないのだが、イタリアのハードバップの良さというのは、こうした金太郎飴のような "粋" にあると思うので、変わらないことについてはさして気にならない。M4 "Updated Sound" のようなクラブ・ジャズの文脈で聞ける楽曲もきっちり収録するあたりは抜かりなし。Schema では Nicola Conte お抱えの High Five の影に隠れがちだが、Lo Greco 兄弟も決して引けは取ってない。(試聴
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by bigflag | 2009-06-22 23:59 | ・Jazz / Latin | Comments(0)  

菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール 「野生の思考」 ('06)

2005年リリースの 「南米のエリザベス・テーラー」 のステージアクト用に結成されたバンド、ペペ・トルメント・アスカラールをフィーチャーした作品。このバンドのコンセプトは 「アルゼンチン・タンゴと中南米幻想文学をインスピレーションの源に、現代音楽とラテン・ラウンジを繋ぐストレンジ・オーケストラ」 だそう(相変わらず俺にはよく分かんないw)。

本作の構成は、2つの組曲と4つのカバー曲からなる。菊地成孔のカバーというと、かなり当たり外れが大きく、むしろ外れの方が多いという印象があったので、カバー曲の多さをかなり不安に思っていたんだけれど、本作についてはその不安は杞憂だった。特に Weather Report の 「Plaza Real」 の出来はかなり良い。その一方で、期待していた細野晴臣の 「ファム・ファタール」(はらいそ収録)は、菊地さんのボーカルがあまり好みではないこともあって、決して悪くはないんだけれど、その期待ほどではなかった(別のボーカリストを用意するか、あるいはボーカルレスだったら、印象はずっと良くなっていたかもしれない)。

初めて聞いた時の印象は、「京マチ子の夜」 のような突き抜けた曲がないのと同時に、現代音楽的な分かりにくい曲もないなーということ。前作に比べると、全体を通して聞き易い。何というか"まろやか" な味わいがある。その分、エロさや猥雑さなどは前作ほど感じられないのだが、どこか白昼夢的で眩暈のする茫洋さが癖になる。ラテン・ミュージックを取り入れた音楽で、こうした感想を持つことは珍しい。上記の 「Plaza Real」 以外だと、やはり書き下ろされた組曲が良い。ただ、菊地さんのソロ作を聞いて思うことはいつも同じで、お酒でも飲みながら(すごく弱いんだけど)聞いていたいな、ということかもw。(試聴
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by bigflag | 2008-10-04 23:11 | ・Jazz / Latin | Comments(2)