カテゴリ:・Hip Hop( 41 )

 

Quantic 「An Announcement To Answer」 ('06)

Will Holland が主宰するレーベル、Tru Thoughts の記念すべき100タイトル目は、自身の Quantic 名義による 4th アルバム。本作は、北京、プエルトリコ、ガーナ、ナイジェリアなど、ライブで飛び回った土地どちの音楽に影響を受けてレコーディングされたそう。カタログ100番ということで、熱のこもった作品かといえば、案外そうでもなく、いつも通りというか、前作 「Mishaps Happening」 以上に肩の力が抜けてます(笑)

ズッコケそうなほどベタな中華サウンドで始まり、尺八を使った日本を想起させるトラックを交えるなど、前半はアジアンな空気がうす~く漂う展開。まあ、心地良くはあるんですが、正直、悪い意味で薄いですね(笑)。とはいえ、"Politick Society" や "Sabor" を始めとする後半のキューバ色の濃いラテン・サウンドでは、本領を発揮。ラストの "Tell It Like You Mean It" は、ブリープなテクノっぽい音を取り入れていたり、リズムの組み方にも光るものを見せてくれてます。(試聴

   

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by bigflag | 2010-10-17 22:13 | ・Hip Hop | Comments(0)  

Quantic 「Mishaps Happening」 ('04)

Will Holland のソロ・プロジェクト、Quantic の 3rd アルバム。本作において2曲でフィーチャーされた、フィラデルフィア出身のソウル・シンガーである Spanky Wilson とは、後に 「I'm Thankful」 というコラボ・アルバムを作り上げたほど、ハマった共演になっているのも聞きどころのひとつ。

前作 「Apricot Morning」 と同じく、軽快なブレイクビーツを聞けるわけなんですが、音使いがより繊細になってます。冒頭、ジャズ・ボッサ調のタイトル曲で聞ける、レイヤー状に少しずつ重ねられていくサウンドは、精緻に作り込まれた本作を象徴する見事なトラック。あと、流麗なストリングス使いが印象的な "Prelude To Happening" をはじめとして、Soul Orchestra などで聞ける熱いバンド・サウンドとは、一線を引いたクールなトラック・メイキングが顕著になっております。(試聴

   

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by bigflag | 2010-09-27 23:25 | ・Hip Hop | Comments(0)  

Quantic 「Apricot Morning」 ('02)

Will Holland のソロ・プロジェクト、Quantic の 2nd アルバム。ここ最近の Will Holland といえば、Quantic Soul Orchestra 名義や Flowering Inferno 名義など、生バンドを率いての作品が印象的なんだけど、デビュー当初より使用している Quantic 名義では、ジャズやファンク、ラテン、アフロビートなどをサンプリングした軽快なブレイクビーツを聞くことができます。

デビュー作である 「The 5th Exotic」 は、なんというか地味な凡作だったんですが(笑)、デビュー作に比べると、2nd アルバムはサウンドの色彩が豊かになっており、後の快進撃が始まる予感を漂わせております。Alice Russell をフィーチャーした M4 "Search The Heavens" や、Aspects をフィーチャーした M6 "Primate Boogaloo" や、M10 "Not So Blue" といった、やはり Quantic らしいファンキーな曲が聞きどころ。ギターのカッティングが非常にクールで、それが作品の雰囲気を決定づけております。熱さを期待すると肩透かしを食らうかも。(試聴

   

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by bigflag | 2010-09-23 13:40 | ・Hip Hop | Comments(0)  

J Dilla 「Ruff Draft」 ('07)

J Dilla が2003年に自身のレーベル、Mummy Records からアナログ・オンリーでリリースしたEPに未発表曲を追加して初CD化した作品。あまり語られることはないが、J Dilla はアルバムの片隅にサイケな楽曲を忍ばせたりしておく人で、本作ではそうしたサイケがかった曲が中心のやや実験的な作品。J Dilla ファンのみならず、シュールなエレクトロニカを好む人にも受け入れそうな楽曲が並ぶ。


"Make 'Em NV" や "Crushin'" のようなジャジーなものは鉄板の出来だが、本作で興味深いのは "$" や "Take Notice" のようなエレクトロっぽい楽曲。J Dilla の作品は盛んに "黒い黒い" と言われるが、コラージュ作である 「Donuts」 を聞けば分かるように、J Dilla はブラック・ミュージックだけを聞くリスナーではないのだ。J Dilla の見過ごされがちな素養が記録されているアルバムと言える。(試聴

   

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by bigflag | 2009-12-23 22:17 | ・Hip Hop | Comments(0)  

J Dilla aka Jay Dee 「The Shining」 ('06)

J Dilla が亡くなる前に残した作品のもう一枚。本作は 「Donuts」 のようなコラージュ集ではなく、「Welcome 2 Detroit」 に続くヒップホップ・アルバム。ただ、生前は未完成状態だったらしく、Karriem Riggins が完成させたのだそう。Common や D'Angelo、Dwele など豪華なゲストを招いていることもあり、アングラ感の強い作品だった 「Welcome 2 Detroit」 とは違って、メジャー感のある作品に仕上がっている。

4曲目の "Love" に始まって、"Baby"、"So Far To Go" と、クリアでメロウな楽曲が続くアルバム前半は素晴らしい内容。これらの楽曲でサンプリングされたオリジナルも、Impressions の "We Must Be In Love"、Stylistics の "Maybe It's Love This Time"、Isley Brothers の "Don't Say Goodnight" と華のあるソウルの名曲ばかり。後半は "Won't Do" を筆頭にスモーキーな雰囲気が戻ってきており、「Welcome 2 Detroit」 が好きだったリスナーも満足のいくサウンド。Boards Of Canada を思わせる "Body Movin'" もサイケがかっていて好きだ。(試聴

   

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by bigflag | 2009-12-19 22:17 | ・Hip Hop | Comments(0)  

J Dilla aka Jay Dee 「Donuts」 ('06)

J Dilla こと James Dewitt Yancey の生前最後にリリースされた作品。全身性エリテマトーデスという難病に侵されていたそうだ。その病状が制作にどのような影響を与えたかは分からないけれど、J Dilla が最後に残した作品の一つである本作は、ブラック・ミュージックの記憶の断片が、螺旋階段のように積み上げられたコラージュ集。それはまるで DNA の二重螺旋構造を想起させる。感傷的でノスタルジックなメロディの断片が、次々と煙のように立ち上って消えていくさまは、とても美しい刹那。

Welcome 2 Detroit」 収録の ”Think Twice” を聞けば、オリジナルを解体して再構築する J Dilla のセンスが桁外れだということが分かるけれど、そのセンスの良さが存分に発揮されている。彼が亡くなったのは、本作リリースの3日後だったという。享年32歳だった。本作の空気を決定づけている、下の4曲を聞いて気になった人は是非手に取って欲しい。J Dilla の代表曲 "So Far To Go" の元ネタとなった Isley Brothers の "Don't Say Goodnight" の美しさには思わず溜息。(試聴

   

   

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by bigflag | 2009-12-17 23:43 | ・Hip Hop | Comments(2)  

Jay Dee aka J Dilla 「Welcome 2 Detroit」 ('01)

Jay Dee といえば、Common の 「Like Water For Chocolate」 や Erykah Badu の 「Mama's Gun」、D'Angelo の 「Voodoo」 といったヒップホップやソウルの名盤に、The Soulquarians の一員として参加していたという知識があった程度で、J Dilla と改名してリリースした、このソロ・デビュー作を聞くまでは、実のところよく知らないミュージシャンだった。

本作を体験後、Slum Village や The Pharcyde など J Dilla の過去作を漁ることになるんだけど、個人的にはソロ・デビュー後の音源が最も好きで、その中でも BBEレーベルの "The Beat Generation" シリーズの第一弾としてリリースされた本作は格別。"黒い" という言葉で音楽を表現することがあるけれど、ビートが太けりゃ黒いってものではない。ブラック・ミュージックの歴史、重みを背負っていると感じることが出来てこそ "黒い" と言えるのであり、本作にあるのはまさにそんな "黒さ" だ。


ファンク、ソウル、ジャズ、サンバ、アフロ・ファンク、テクノなどのエッセンスを、乾いたブレイクビーツに乗せて再構築したサウンドはとても奥深く、身を任せるに足るグルーヴ・ミュージック。そして、煙たい空気感は J Dilla 独特のもの。Donald Byrd をカバーした "Think Twice" や E,W&F をサンプリングした "Brazilian Groove" はとりわけソウルフルな楽曲。正真正銘のヒップホップ・クラシック!!! (試聴

   

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by bigflag | 2009-12-13 23:16 | ・Hip Hop | Comments(0)  

Evisbeats 「Amida」 ('08)

元・韻踏合組合のMC/トラックメイカー、エビスビーツによる 1st アルバム。エキゾなインスト・ブレイクビーツ集だった 「World Tour」 にラップやヴォーカルを乗っけたような曲が多く、日本含め世界各国のエキゾなネタをサンプリングした楽曲を堪能できる。般若心経をラップで唱える "般若心経 Rap" も再録。

日本の音楽シーンにおいて、このようなエキゾ風味の強いごった煮の楽曲は、細野晴臣の3部作以来 (かどうかは分からないけど多分)、細々ながら根付いているサウンド。そして、エビスビーツの楽曲がその影響下にあることは容易に想像がつき、本人もまた細野晴臣からの影響を公言している。

ただ、そうしたエキゾ風味の強い楽曲の魅力もさることながら、柔らかな喜怒哀楽で表現された歌詞が素晴らしい。全てをエビスビーツが作詞していないとはいえ、肩肘の張らないスタンスで統一された歌詞をラップし歌う、エビスビーツやゲスト達の声はとても自然体だ。だからこそ彼らの言いたいことも、こちらへ淀みなく自然と伝わってくる。それはまた、エビスビーツの声のトーンが、日本人に聞き慣れたものだということも大いに関係していると思う。こういうヒップホップを僕はもっと聞きたい。ヒップホップが苦手という人にこそ聞いて欲しい作品だ。


   

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by bigflag | 2009-10-04 23:10 | ・Hip Hop | Comments(0)  

DJ Krush & Toshinori Kondo 「Ki-Oku -記憶-」 ('96)

ジャズ・トランペッター、近藤等則とのコラボレーション・アルバムで、「Meiso -迷走-」 と 「Milight -未来-」 との間にリリースされた作品。おそらく DJ Krush から近藤等則へ共演を呼びかけたと思うのだが、自身と同じように、身ひとつで海外を渡り歩いていた先達に対する尊敬の念と共感が、そこにはあったのではないだろうか。コラボ作ということで、二人の個性がどのような化学反応を起こしたのか、そんな期待をして聞くと、やや肩透かしを食うかもしれない。

というのも、本作は火花散るような作品ではなく、とても静謐な作品だからだ。なぜ、このように穏やかな作品に仕上がったのか。それは、二人の個性や価値観に共通するものが多かったからではないかと思う。しかし、ここで聞ける音楽は、慣れ合いのようなものでは決してない。互いの中の自分を凝視しているような薄らとした緊張感がある。同志と呼べるような二人が出会い過ごした時間を記録した、孤高のアンビエント・ジャズ集。



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by bigflag | 2009-03-24 22:08 | ・Hip Hop | Comments(0)  

DJ Krush 「Milight -未来-」 ('96)

前作 「迷走 -Meiso-」 と同じく、ゲストMC を迎えて制作された 4th アルバム。テーマが "未来" ということもあり、どこかフューチャリスティックな雰囲気の作品に仕上がっている。相変わらず派手なサウンドではないが、SF感をそこはかとなく漂わせるあたりが何とも DJ Krush らしい。輪郭のぼやけたような音使いが非常に印象的で、それはまるで揺らぐ自意識のようでもある。この頃の DJ Krush の楽曲は、湿った情緒が徹底して廃されているのが特徴で、それは本作に収録された "Jugoya" を聞けば、よく分かるというもの。


"十五夜" とはお月見を楽しむ日、というのが一般的なイメージ。そんな日を取り上げて、静かなる狂気を漂わせた楽曲を作ってしまうところに、DJ Krush のただならぬ情念のようなものを感じてしまう。ここまで狂気の潜むアンビエント・ミュージックもそうはない。あとは、"Kemuri" を彷彿させる "Real" もスモーキーな楽曲で格好良いし、John Lennon の "Mind Games" をダウンテンポ・ブレイクビーツに変えたカバーも秀逸。

   

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by bigflag | 2009-03-23 00:07 | ・Hip Hop | Comments(0)