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カテゴリ:・Experimental( 26 )

 

Altz 「Escape -The Reconstruction Of Isophonic Boogie Woogie-」 ('09)

大阪在住のミュージシャン、Altz が Roland P.Young の 「Isophonic Boogie Woogie」 を再構築した作品。

フリージャズ色の強いスピリチュアルなアンビエント・ミュージックであった同作が、レイブ/クラブ・ミュージックの文脈で再評価されたことを踏まえて本作を聞くと、オリジナルをなるべく生かしつつ、再評価された文脈通りに再構築したトリッピーなサウンド(4つ打ちを入れたり、ダブ処理したりetc...)は、意外性には欠けるものの模範的な仕上がりと言える。正直なところ、もっとブッ飛んだものを期待していたので、ちょっと肩透かしを食らった気分も少し。とはいえ、脳をグニャっとさせてくれるオリジナルを生かしたサウンドが悪いわけもない。(試聴
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by bigflag | 2009-09-28 22:55 | ・Experimental | Comments(0)  

Gang Gang Dance 「Saint Dymphna」 ('08)

Gang Gang Dance の 3rd アルバム。タイトルの "Saint Dymphna" とは、精神病患者や狂人、アウトサイダーなどの守護聖人のことを意味すると同時に、マンハッタンにあるバンド・メンバー行きつけのバーの店名でもあるらしい(笑)。本作の前年にリリースされたEP 「Rawwar」 でも顕著だったが、2nd 「God's Money」 と比較すると、リズムがより分かり易いものへと変化。トライバルなパーカッションに加えて、グライムやハウスなどの打ち込みによるリズムが導入された曲もあり、グルーヴ感を重視したダンサブルな作品に仕上がっている。

リズ嬢のヴォーカルも相変わらずエキセントリックで良い味を出しているんだけど、グライム・シーンの MC である Tinchy Stryder (ティンキー・ストライダー) をフィーチャーした "Princes" なんかはやたらと格好良く (右下の動画)、GGDがグライム!?ってことでインパクトも大。また、メロディもアラビア音楽がどうという次元ではなくて、色んな要素が混ざり過ぎて何がなんだかよく分からないのにポップ、というもの凄い領域に足を踏み入れてきた。

そして、本作ではソリッドなギターによる表現力の向上が目覚ましい。モロにマイブラな "Vacuum" はご愛敬としても(笑)、ポストパンク、ノイズ、アンビエント、ダンス・ミュージック、民族音楽などを内包した GGD のボーダレスなサウンドをよりスリリングなものにしている。また、浮遊感そのままに、艶やかさに磨きのかかったシンセの音色も印象的。同じブルックリン出身の Animal Collective とともに、いま最も楽しみなロック・バンドのひとつだ。
試聴

   

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by bigflag | 2009-07-27 00:13 | ・Experimental | Comments(0)  

Gang Gang Dance 「Rawwar」 ('07)

2nd 「God's Money」 の世界観を受け継ぎつつ、さらにポップさを増して、次作 「Saint Dymphna」 が傑作であることを予感させた、2007年リリースのEP。

エスニックなメロディを全面に押し出した "Nicoman"、艶やかなシンセと打ち込みのみで構成されたエスニック・インスト "Oxygen Demo Riddim"、ダブステップを意識したようなベースラインが印象的なコラージュ・サイケ "Earthquake That Frees Prisoners" と、いずれの楽曲も聞きどころ十分。同年にリリースされた 「Retina Riddim」 とのカップリング盤が日本限定で出ているので、そちらがお勧め。(試聴
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by bigflag | 2009-07-26 00:22 | ・Experimental | Comments(2)  

Gang Gang Dance 「God's Money」 ('05)

ニューヨークはブルックリンの実験的なロック・バンド、Gang Gang Dance による 2nd アルバム。彼らは、No Wave 以降の典型的なアート・ロック系のバンドで、こういうバンドには大衆性を帯びていく瞬間というものがときにあり、僕はそうした瞬間や過程を追っていくことに快感や感動をとても覚えるのだけれど、本作はまさにその瞬間を捉えた作品だ。

GGDのユニークなところは、アラビア音楽の導入と大衆性の獲得の時期が一致していること。そして、この聞き慣れないエスニックなメロディが不思議と耳を引く。また、トライバルなパーカッションが生み出すポリリズミックなグルーヴに、そのアラビックなメロディと Liz Bougatsos (リズ・ボウガツォス) の不定形でシャーマニックな女性ボーカルが乗ることによって、ありそうでない独創的な世界観となっている。

もともとの女性ボーカルやエレクトロニクスがフワフワとしたものである上に、ダブ処理もかけられているので、かなり浮遊感のあるトリップ・ミュージックでもある。メロディがどこか東洋風味でもあるので、日本人には案外親しみやすいかもしれない。ただ、下のライブ映像だけ聞くと、親しみやすさなんてまるで感じないので要注意w(試聴


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by bigflag | 2009-07-23 23:30 | ・Experimental | Comments(0)  

Paddy McAloon 「I Trawl The Megahertz」 ('03)

2001年にリリースされた Prefab Sprout の 7th アルバム 「The Gunman And Other Stories」 の2年後に突如リリースされた、Paddy McAloon 初となるソロ・アルバム。それは、Prefab Sprout のようなポップ・ミュージックとは真逆にある、インストゥルメンタル・ミュージックだった。クラシックや現代音楽、あるいはジャズの要素を多分に含んでおり、まるで映画音楽のような雰囲気だ。Prefab Sprout 名義の作品と、本作の音楽性は大きく異なっているのだが、Paddy McAloon がデビュー当初から作り続けてきた音楽と、この作品とが隔絶しているわけではない。むしろ、地続きにあることは明白だ。

Andromeda Heights」 で表出していたものと同様の感情がここには確かにある。しかも、約6年の時を経て、その諦念に覆われた哀しみはより強いものへと変容しており、作中から止めどなく溢れ出ている。この作品は、20年近い Paddy McAloon の音楽活動において、言葉にすることができなかったものの集積なのかもしれない。朽ち果てた末にあるような美しさが本作を覆っており、胸に痛みを残すような旋律が印象に残る。(試聴
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by bigflag | 2009-05-03 12:11 | ・Experimental | Comments(0)  

Susumu Yokota 「Love Or Die」 ('07)

三拍子・三部作(?)の最終作。2作目の 「Triple Time Dance」 はダンス・ミュージックだったが、こちらは1作目の 「Wonder Waltz」 と同じリスニング仕様の作品となっている。ただ、同じリスニング・ミュージックとはいっても、その作風は随分と異なる。「Wonder Waltz」 は "童話系" と表現したように、"不思議の国" を想起させるシュールな世界観を持つ作品だった。それに対して本作は、すべての曲につけられた説明的で長い曲名を見れば分かる通り、ひとの内面を描写した作品で、ときに生々しさを感じるほどだ。

沈鬱なトーンを発するギターと繊細なリズムを中心に組み立てられたサウンドのなか、要所で聞こえてくるピアノの優美な響きがとても印象深い。「このアルバムができた瞬間、もう音楽活動を止めてもいいと思った」 と言うほど、ススム・ヨコタにとっては特別な作品らしいのだが、ここ数年で最も驚嘆した作品のひとつである 「Symbol」 を先に聞いていたせいか、そこまでの作品とは思えなかった。とはいえ、本盤が良作であることに変わりはないのだけれど。(試聴
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by bigflag | 2009-04-16 22:19 | ・Experimental | Comments(4)  

Susumu Yokota 「Wonder Waltz」 ('06)

アルバムのリズムを全て三拍子で制作する、という珍しい試みがなされた作品。同年に 「Triple Time Dance」 という、これまた三拍子で作られた作品があるのだけれど、そちらはダンス・ミュージックで、本作は "童話系エレクトロニカ" とでも言いたくなるリスニング・ミュージック。ほとんどの楽曲で、カヒミ・カリィなど女性歌手が起用されているのだが、収録された楽曲と同じように、皆どこか神秘性を感じさせる声の持ち主ばかりだ。

ススム・ヨコタのメロディというのは、「Sakura」 で聞けるような東洋的なものから、「Symbol」 で聞けるような西洋的なものまでと、東西に振れ幅をけっこう持っているんだけど、本作は東洋的な香り (特にバリ島) のするサウンド。ワルツにオリエンタルなメロディを乗せている時点で、ある程度の想像はつくのだが、なかなかにシュールな世界観を持った作品だ。馬(ペガサス)の蹄の音をダブ処理した "Pegasus 150" はその最たるもので、意外とユーモラスな人なんだなと思ったり(笑)。ススム・ヨコタの創造力が存分に出た作品で、リスナーを "ヨコタ・ワンダーランド" へと連れて行ってくれる。

蛇足だが、メロディレスで打ち込みの音しかほとんど聞こえない 「Triple Time Dance」 は、その良さが僕にはあまり理解できなかった。途中でアシッド・サウンドを織り交ぜているところがあって、その部分だけは好きだったんだけど。全編がアシッド・サウンドなら良かったのに。まあ、それはさておき、ハード・ミニマルのような、リズムだけのダンス・ミュージックというのは、いつまで経っても好きになれないよなあ。苦手だ。(試聴
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by bigflag | 2009-04-14 23:53 | ・Experimental | Comments(0)  

Susumu Yokota 「Symbol」 ('04)

今回のススム・ヨコタ特集で、最も聞いてもらいたい作品がこちら。この作品を聞いてもらいたい、そんな思いで特集をしたと言っても過言ではない。本作は、ベートーベンの "月光" などの有名なクラシック音楽を大胆にサンプリングして作られており、テクノやエレクトロニカなどと言うよりも、DJ ミュージックと表現した方がしっくりとくる作品だ。

クラシックには疎いので非常に浅はかな印象だが、クラシックは非常に調和を重視した音楽というイメージがある。一方、本作で聞けるサウンドは、調和の取れた音楽とはほど遠いもので、むしろ混沌に近い。指揮者のような中心を担っているものが不在なのだ。それでいて、柔和なエレガンスが損なわれていないところに、いつもと変わらないヨコタらしさがある。ヨコタの手によって、独創的に再構築されたクラシックの断片の数々が、リスナーに幽玄なるワンダーランドを幻視させる。ススム・ヨコタの数多い作品の中でも、頭ひとつ抜けた傑作だ。(試聴
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by bigflag | 2009-04-12 22:55 | ・Experimental | Comments(4)  

Strategy 「Future Rock」 ('07)

Nudge のメンバーでもある Paul Dickow のソロ・ユニット Strategy の 3rd アルバム。リリースは、シカゴのポストロック/音響系レーベル Kranky から。サウンドの土台は、ファンクやアフロビート、エレクトリック・ジャズ、エスニック・ミュージックなど様々なジャンルから抽出して合成されたコズミックなグルーヴ。

その上を泳ぐのが、浮遊感のあるエレクトロニクス。そして、ダブ処理された深みのある音響。単純に言ってしまえば、Can の 「Future Days」 を想起させる作品。また、タイトルである 「Future Rock」 という言葉自体が既にレトロなものなので、ここで聞ける音も自然とそうなってしまう。ただ、Can 直系の音というのは意外となかったりするので、新しくはないが新鮮味はある。全体的にグルーヴは緩めで、アンビエント・テクノ色の強まる後半もなかなかの心地良さ。(試聴
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by bigflag | 2008-06-05 00:13 | ・Experimental | Comments(0)  

Xinlisupreme 「Tomorrow Never Comes」 ('02)

熊本出身の日本人2人によるエレクトロ・ノイズ・ユニット、シンリシュプリームのデビュー・アルバム。本作の発売当初、Andrew Weatherall (アンドリュー・ウェザオール)より 「ベストバンド」 と絶賛されたそうで、本作のライナーノーツもアンドリューが担当。リリースはイギリスのレーベル Fat Cat で、Jesus & Mary Chain、My Bloody ValentineSucide、Merzbow などを引き合いにして世に紹介された。(MySpace

バリバリとしたノイズで空間にヒビを入れながら暴走する、これぞシンリシュプリームという曲で幕を開ける。M1 「Kyoro」、M6 「I Drew a Picture of Myself」、M11 「Fatal Sisters Opened Umbrella」 のような Jesus & Mary Chain 直系、かつ彼らの 1st 「Psycho Candy」 の強い影響下にある曲こそ (生々しい音響も含め)、シンリシュプリームの真骨頂。ポップなメロディとフィードバック・ノイズを組み合わせるだけならば、そこそこの才能の音楽家にでも出来る。が、J&MC のようなパンキッシュな佇まいを纏うことは出来ない。Xinlisupreme にはそれがある。

また、3rd 「Automatic」 で聞けるインダストリアルなビート感は、より殺伐にアップデートされている。J&MC の系譜を継ぐミュージシャンとしては、最も突き抜けたグループの一つ。M4 「All You Need Is Love Was Not True」、M10 「Untitled」 のような Suicide を想起させる曲も尋常じゃない。なお、彼らの最新音源は、オフィシャル・サイトからフリーダウンロードが可能。(試聴
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by bigflag | 2007-12-22 09:25 | ・Experimental | Comments(4)