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Nate Morgan 「Journey Into Nigritia」 ('83)

Nimbus(ニンバス)というレーベルから、このアルバムは出ているんですが、ニンバスは79年の設立以降(現在はNibus West)、良質のスピリチュアル・ジャズを送り出してきたレーベルです。これは、そのレーベルの中でも1・2を争う人気盤。このアルバムで聞ける音には、63年前後のコルトレーンを模範としたような高い叙情性がある。また、アルバム・ジャケを見れば分かるように (超B級だけどw)、黒人的宇宙観がある。

聞き手に高揚感をもたらすネイト・モーガンの手数の多いピアノが特徴で、どの曲でもピアノの存在感が抜群なんだけど、中でも図抜けているのは2曲目「Mornig Prayer」。この曲は、バラードの定石を無視した快作だ。なぜなら、バラードであってもネイト・モーガンの手数の多さが変わらないからだ。また、その手数の多さが、聞き手に無数の星を想像させもする。

ブッといベースと跳ねるようなピアノがとても躍動的なM1。静かな立ち上がりから徐々に盛り上がるM3は、2004年ベストに入れた Build An Ark がアルバムでカバーしている (ネイト・モーガン自身も参加!)。M4を極端に表現すると、スピリチュアル・ジャズとビ・バップが交互に演奏されているかのようで、とてもスリリングな曲だ。ピアノの手数が一番多く前のめりなM5。フリー色の強いM6。捨て曲なしの名盤。とにかくこのジャケットを信じてみよう!
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by bigflag | 2005-07-29 02:07 | ・Cross Over / Fusion | Comments(0)  

講師とコソ泥 ~その1~

M 君が初めて友人の塾を訪ねて来た時、彼は酷く挙動不振な様子で入室してきたらしい。
彼は J 君と同級生であり、同じテニスクラブに入っている友達である。
そう、 M 君は J 君の紹介で入塾してきたんだ。

中3間近にもなると、友達とお互いの成績について話のネタにすることも多い。
とりわけ同じような成績の者同士の会話は、お互いの小さなプライドを刺激し合うため、
妙なテンションに支配されながら盛り上がるものだ。ちょっとした点数差を過剰に気にしながら、
勝ったの負けたのだと、それぞれ心中穏やかではない。よくある話だ。

ある日、J 君は M 君に中2の3学期の期末テストの結果を聞いてみた。この何でもない
問い掛けが M 君にとっては驚きだったらしい。いつもなら自分から聞いていたのだが、
その日は違ったからである。M 君の成績は、J 君ほどではないにせよ悪い。下から数えて
常に10番以内には入っている。が、しかし J 君には1教科たりとも負けたことがなかった。
どの教科での戦いにも、今まで勝利を収めてきた。テスト後、毎回 J 君の成績を聞き出し、
小さなプライドを守ってきた。J 君から成績を問われた瞬間、嫌な予感が M 君を貫いた。
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by bigflag | 2005-07-27 23:01 | ・学習塾 | Comments(0)  

DRY & HEAVY 「Full Contact」 ('00)

日本を代表するレゲエ/ダブ・バンド、ドライ・アンド・ヘビーの3rd アルバム。ドラヘビは世界中見渡しても数少ないルーツ・レゲエを継承しているバンドなんだけど、ルーツ・レゲエの模倣をしているわけではない。というか、日本で育ち音楽体験を得るって状況だと、完全に模倣しようと思ってもなかなか出来ない(今のジャマイカ人にも余り出来なさそうだけど)。というのも、やっぱり歌謡曲(J-Pop)とか先に音楽体験として得てしまうから。まして、バンドを組もうなんて考える人だったら、海外のロックやパンクをまず模倣したりすることが多い。それが音やアティチュードやバンドとしての佇まいなどに、やはり滲み出てしまう。(それが悪いことだとは全く思わないが)

ドラヘビのメンバーも初めはロックやパンク・バンドを組んだ(あるいは聞いていた)経験が多分あるはずで、M2・4・7・9 辺りが、身体感覚的にロックが染みついていることを感じさせられる。と同時に、その感性とレゲエ/ダブが調和しているこれらの曲は特に格好良くもある。サックスが壮絶にダブ処理されたM3、フルートが冴える M6、浮遊感のあるキーボードがトランス感覚を誘う M9 と M10 も良い。最高なのは M5。ラヴァーズロック・スタイルの美しいトラックとリクル・マイのキュートな歌声には、溢れんばかりの多幸感がある。延々とこの歌を聞いていたい、という気持ちにかられる名曲。
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by bigflag | 2005-07-24 00:27 | ・Reggae / Dub | Comments(0)  

マンハッタン恋愛事情 / Two Girls And A Guy ('97 米)

監督 : ジェームズ・トーバック
出演 : ロバート・ダウニーJr. (ブレイク)、 ヘザー・グラハム (カーラ)、
     ナターシャ・グレグソン・ワグナー (ルー)

 1人の男が付き合っていた2人の女性が鉢合わせして
 しまったことから、急に生まれた三角関係を、3人の会話
 のみで描く演劇っぽい映画。舞台もほぼ男の部屋のみ。

 ヘザー・グラハムとロバート・ダウニーJr.の激しい
 ラブシーン以外の印象なし。ヘザー・グラハムの
 手つきが・・・
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by bigflag | 2005-07-23 23:23 | ・映画 - アメリカ | Comments(0)  

K-1 WORLD MAX 2005 ~決勝トーナメント~

日本人ブロックのアクシデント続きと番組構成のあまりの酷さのため、時間が経つにつれて、
どんどん興が削がれてしまって、ちょっと残念な大会になってしまった。コヒvsサワーを除いた
準々決勝の試合全てが面白かっただけに勿体無い。番組構成については猛省を願う。

魔裟斗が非常に良い動きを見せていたので、こりゃ優勝するかもと思って見ていたら、
足を引きずる不吉なサインが。案の定、角田登場でテンションだだ下がり。出入りの早い
魔裟斗なら、サワーに勝てただろうし。つーか、安廣はよくダリウスに勝ったなあ、と。

コヒは膝とクリンチ以外、何も出せなかった。ローで組み立てれば良かったのに。
やはりパンチを合わせられるのが怖いのか。パンチへの恐怖心がまだあるようだ。
膝一発じゃ、辛いぜ。

フルラウンドでパーを見たのは、今回が初めてなんだけど、確かに強い。でも動きにシャープさが
それほど無かったので、想像していたよりは強くはなかった。頑強な選手。クラウスとの試合は
今大会のベストマッチ。引き分け延長だろう、と。クラウスのパンチは相変わらず伸びる。

外国人選手の3強を全て一つのブロックに固めたため、ブアカーオは決勝まで来るのが
精一杯だった。一方、サワーはコヒの小心とアクシデントに助けられ、楽々と決勝へ
上がってきた。サワーの本当の力は最後まで観客には伝わらなかった。決勝戦はカットされ
過ぎて、最終ラウンドへ至るまでにブアカーオとサワーの間で、何が起こったのかサッパリ
分からなかったが、ブアカーオに準決勝のキレは無かった。主催者の日本人選手への
過剰なお膳立てが全て裏目に出た。その天罰が下った大会かw

MVPはクラウス。パーとの一進一退の激しい試合はもちろんのこと、ブアカーオの気迫を
あれだけ引き出したクラウスはさすが。あの伸びるようなパンチを浴びた苦い記憶を
ブアカーオに植え付けていたからこそ、だろう。あれだけ必死に畳みかけるブアカーオは
初めて見たもんな。次の試合?・・・そりゃ、相手にしがみ付くくらいしか出来ねえよ。
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by bigflag | 2005-07-21 01:31 | ・格闘技 - 打撃系 | Comments(0)  

Milton Nascimento / Lo Borges 「Clube Da Esquina」 ('72)

この「街角のクラブ(Clube Da Esquina)」と名付けられたアルバムは、「ミナス派(*)」 と呼ばれるミルトン・ナシメントとロー・ボルジェスを中心とした音楽家達のコラボレーションによって作られた。
(* ブラジルのミナス・ジェライス州出身のミュージシャンが多かったため)

ブラジル音楽の魅力の一つに、様々な文化圏の音楽が混ざり合っていることなんだけれど、ミルトン・ナシメントはブラジル音楽界のそういった側面を代表する音楽家だ。サンバ、ボサノバ、アフリカ音楽、ロック、ポップス、フォーク、ソウル、ジャズ、教会音楽、グレゴリオ聖歌など片手では数え切れない様々なジャンルをミックスし、なんだか土臭いと言いたくなるような感性でそれらをまとめ、独自の音楽を作り上げている。あと、何といってもミルトンは素晴らしい声を持っている。その声は力強く美しい。それは、「ブラジルの声」とまで言われたほどの声。ミルトンの弾力的な自由に伸び縮みする、あの独特な裏声を聞けば、納得できる評価だと思う。

このアルバムの魅力は上記のような「音楽の坩堝」とでも言えるような見事なミックス感覚はもちろんなんだけど、最大の魅力は、音楽ジャンル同様、収録曲の多くに喜怒哀楽すべて、あるいは複数の感情を預けていることにあるんじゃないか。これは悲しい曲。これは楽しい曲。という風に曲ごとに感情が振り分けられていない。曲ひとつひとつが「感情の坩堝」となっている。それゆえか、変拍子の多用もテクニック重視とは感じることなく、曲の持つ多面性を表現することに成功しているし、また躍動感を感じさせる。

繊細なギターとミルトンの力強い声が最高な M1、教会音楽 (ミルトンの祈るような歌声!) を見事にポップス化させた M9、ミナス派の永遠のテーマ曲とでも言うべきM11、街中にいるはずなのにジャングルに迷い込んだような感覚を覚える M18。この4曲が特に好き。(試聴
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by bigflag | 2005-07-20 00:10 | ・Brasil / Africa | Comments(0)  

もっとしなやかに もっとしたたかに ('79 日本)

監督 : 藤田敏八
出演 : 森下愛子 (田口彩子)、 奥田瑛二 (高木勇一)、 高沢順子 (高木君枝)、
     風間杜夫 (海野)、 蟹江敬三 (彩子の父親)

妻に捨てられた勇一は、運送屋の仕事をしながら鬱屈した毎日を過ごしていた。ある日、ひょんなことから彩子と出会う。勇一は妻に未練を残しながらも、妻とタイプの違う彩子に惹かれていく。

クドカンのドラマでの森下愛子しか知らなかったんだけど、なーんだ昔からあんな感じの不思議ちゃんの役をやってたんですねえ・笑。しかも脱いでたとは(乳首も綺麗でしたw)。もっと普通にアイドルをしてたのか、と思ってました。しかし当然ですが、森下愛子が若い。顔が小さくて、可愛い。小悪魔だ。これぞ、小悪魔って感じのハマリ役。

 ラストは身も蓋もない。前に見た 「ダブルベッド」 という作品でもそうだったんだけど、この監督さんの描く男は情けない奴ばっかだな。それに引き換え、女の人はみんな軽やかだ。根底に抱えている問題は男も女も同じなのに。男は四畳半から足が離れない・・・
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by bigflag | 2005-07-19 00:20 | ・映画 - 日本 | Comments(0)  

ザ・ミッション 非常の掟 / 鎗火 ('00 香港)

監督 : ジョニー・トー
出演 : アンソニー・ウォン (グァイ@床屋)、 フランシス・ン (ロイ@ナイトクラブ店主)、
     ジャッキー・ロイ (シン@ロイの舎弟)、 ラム・シュー (フェイ@ピーナツ)、
     ロイ・チョン (マイク@ホスト?)、 エディ・コー (ブン社長)、サイモン・ヤム (フランク)

 ある日、香港マフィアの長・ブンが何者かに
 狙われた。ブンは弟のフランクに組織の中から
 自身の警護と真犯人捜索、というミッションを
 遂行できる人員を召集させる。

 上記のストーリーや冒頭の音楽からして、香港の
 B級アクション映画そのものなんだけど、この映画は
 銃撃戦がかなり良い。張り詰めた空気と緊張感が
 あるし、何よりもカッコいい。敵味方ともに簡単に
 打たれて死んだりしない。ギリギリの攻めぎ合いが
 ある。濃い原色で彩られた香港の妖しい夜の風景と
 物語との相性も最高だった。

 宍戸錠、金子賢、白竜など日本人俳優と似た人達w
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by bigflag | 2005-07-18 13:55 | ・映画 - アジア / ブラジル | Comments(0)  

SUICIDE 「Suicide」 ('78)

スーサイドは、アラン・ヴェガ (ボーカル) とマーティン・レヴ (キーボード、リズム・ボックス) の2人からなるパンク・デュオ。パンクと言っても、彼らの音楽はいわゆるパンクとは全くかけ離れたものだ。ギターもベースもドラムもない。気の違った甘いボーカル (叫び、あえぎ声)、焦点の定まらない揺れた音を奏でるキーボード、散らかったリズム・ボックスの真っ白な音、主にこの3つのみで構成されている。そこかしこにロック、パンク、ダブ、ジャーマン・プログレ、エレクトロ・ポップ、などの破片は見られる。もっと具体的に言うと、Sly & The Family Stone の 「暴動」 やVelvet Underground、Silver Apples からの影響は感じられる。

しかし、スーサイドの音楽は他から圧倒的に孤立している。なぜなら、スーサイドは定型化された音楽ジャンルを自殺に追い込んでみせたバンドであるからだ。薄汚れた未来の猥雑な音楽。どうせ買うなら、客からのブーイングが聞ける(笑)ライブ盤付きを。(試聴
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by bigflag | 2005-07-17 03:01 | ・Experimental | Comments(0)  

蝶の舌 / La Lengua de las Mariposas ('99 スペイン)

監督: ホセ・ルイス・クエルダ
撮影: ハヴィエ・サルモネス
出演: フェルナンド・フェルナン・ゴメス (グレゴリオ先生)、 モンチョ (マヌエル・ロサノ)、
    ウシア・ブランコ (ローサ@母)、 ゴンサロ・ウリアルテ (ラモン@父)、
    アレクシス・デ・ロス・サントス (アンドレ@兄)

スペイン国民文学賞に輝いたマヌエル・リバスの短編3つを繋げて映画化。1936年、喘息のため小学校に遅れて入学したモンチョは、グレゴリオ先生の下、様々なことを教わりながら成長していく。しかし、スペインでは教会や資産家(保守派)の支持を受けた軍部がクーデターを起こし、内戦へと踏みこもうとしていた。

サッカー好きの人なら、スペインのサッカーを語る時に、内戦の持つ影響を同時に語られることがあるため、スペインで内戦があったことについて、多少のこと(レアル・マドリードとフランコ将軍の関係など) は知っているはず。この映画はその内戦前夜を描いている。ラストが唐突と言えばそうかもしれないけど、劇中で大人たちが盛んに政治絡みの話をしているので、唐突という感じはしない。やや演出過剰。評価するなら、良質な凡作というレベル。

 そうそう、音楽はアレハンドロ・アメナバール監督が担当してんだとか。ビックリしたなあ。多才な人なんですねえ。どんな音楽だったか、実はあまり印象に残ってないんですけど。急に兄貴がサックスをいっぱしに吹けるようになったことの方が印象的だったりしますw

 スペイン内戦の背景と映画、そして『蝶の舌』
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by bigflag | 2005-07-17 01:11 | ・映画 - ヨーロッパ | Comments(2)