<   2005年 08月 ( 26 )   > この月の画像一覧

 

Pete Rock & C.L. Smooth 「The Main Ingredient 」 ('94)

Pete Rock & C.L. Smooth 名義での 2nd にしてラスト・アルバム。ピート・ロックがトラックを作り、CL・スムースがラップを担当している。90年代のヒップホップを代表する名盤。

エレピの揺らぐような音とリズミカルに刻むザラついたビート、そして何処か遠くで鳴っているようなホーン使いが最高の M1 「In The House」、スペーシーなキーボードが特徴的な M2 「Carmel City」、ギターのミニマルなフレーズが反復される M3 「I Get Physical 」、ミステリアスな雰囲気のタイトル曲、ドナルド・バードの 「Places and Spaces」 をサンプリングした M9 「All The Places」 は緩いスクラッチがたまらない。ソウルフルな女性コーラスがフィーチャーされた M11 「Take You There」 は何処か素敵な場所に導いてくれそうな曲だ。ロイ・エアーズの 「Searchin'」 をサンプリングした M12 「Searching」 はディレイをかけられたヴィブラフォンが響く響く。M14 「In The Fresh」 は波打つような音がレイドバックした雰囲気を醸し出していて最高です。

ピート・ロックが作る音を単純に言うなら、メロウ&ジャジーな音源をサンプリングして、太いベースラインとザラついたビートに乗せ、独特のディレイをかけた音処理がされている。現在、巷に溢れているアングラ・ヒップホップのイディオムの多くがこのアルバムにはある。

試聴/PV 「I Got A Love」)
[PR]

by bigflag | 2005-08-31 12:54 | ・Hip Hop | Comments(0)  

PRIDE ミドル級GP 2005 決勝戦 ①

地上波組なので、この3日間は格闘技系の情報を遮断して、結果を知ることなく、
今日の放送を見ることができましたw。今回のプライドは、期待に違わぬ緊張感があって、
すごい楽しめた。特に因縁ただならぬシウバ vs アローナ、ミルコ vs ヒョードルの
試合の緊張感たるやもの凄い。やはり、因縁が緊張感と比例するんでしょうかね。
両因縁ともに、長年かけて醸成された関係を元にして作られた物語ですから。

<マウリシオ・ショーグン vs アリスター・オーフレイム>
キック王国オランダ出身ってことで、アリスターが勝つかもしれないと密かに思っていたんだけど、
あれよあれよという間にKO負け。スタンド系のオランダ人ファイターでは珍しく、グラウンドの
トレーニングをきちんとしていることもあり、期待してたんやけどなあ。ガードポジションの
ディフェンス時の集中力の欠如を克服しないと、トップレベルを維持するのは難しいと思う。
が、チョークの入り方に才能を感じるし、打撃もパンチのスピードを上げることができれば、
かなり面白い存在になれるんじゃないか。あとはスタミナ。

<ヒカルド・アローナ vs ヴァンダレイ・シウバ>
アローナが試合後に 「自分にとってはヴァンダレイとの試合が大事だった。勝ててうれしい」
と語っているように、シウバ戦がアローナにとっての決勝戦だったのかもしれない。
それくらいアローナの気迫が伝わってきた。例えば、アローナの渾身のローキック、両手を
組んでのパウンドなど。あと、スタンドでのパンチの応酬を全く怖がってなかった。
パンチの応酬が終わると必ず隙が出来るものなので、そこを怖がらずに出来るのは、
テイクダウンに優れた柔術家にとっては大きなアドバンテージとなる。さらにアローナは
グラウンドで上を取ってからのポジション・キープが卓越しているので、完全にアローナが
試合を支配していたと言える。あと、アローナはパウンドにかなり積極的になってますね。
腰を上げて、少しポジションを崩しながらでも、パウンドを当てようとしていた。もしかしたら、
ヒョードルのパウンドを参考にしているのかもしれないなあ。

日本人とばかり試合をしていうちに、いつの間にやら 「絶対王者」 になっていたシウバですがw、
ついにミドル級でも、土が付いてしまった。前に出れないなど (最近“待ち”を基本とした
試合運びに変えていることもあるけれど)、アローナに気持ちで負けていたこともあるけれど、
印象に残ったのは、体の柔軟性の欠如。体が思うように動いていないんじゃないかなあ。
筋肉のつけ過ぎもあるかもしれません。昔は、エビ反りなんかを巧みに駆使して、
ガード・ポジションから脱出しようとしていたけど、そんな動きが全く無かった。
相手がポジション・キープに優れたアローナってのもあるかもしれないけど、ガード・ポジション
になった時にあれだけ何も出来ないと、王者であり続けるのは難しいと言わざるをえない。

<マウリシオ・ショーグン vs ヒカルド・アローナ>
ショーグン強え。ジャクソン戦で口にした言葉を再び反芻してしまうような強さ。試合時間こそ
短かったけれど、もう攻撃でも防御でもアイデアが次々に出てくるショーグンの動きに
唸らされっぱなし。あのオモプラッタを利用したグラウンドからの脱出劇は凄かった。
スゴイしなやか。動物的カンみたいなものが、ショーグンにはある。開始一分でアローナに
パンチを効かせて、あとは将軍ショー。試合後の 「シウバとタイトルマッチをする気はない」
というインタビューを聞くと、兄弟子との試合は実現しなくて良かったのかもしれないですね。
[PR]

by bigflag | 2005-08-31 01:10 | ・格闘技 - 総合 | Comments(0)  

PRIDE ミドル級GP 2005 決勝戦 ②

<エメリヤーエンコ・ヒョードル vs ミルコ・クロコップ>
3年もの長い期間を置いての邂逅。ミルコに勝って欲しいなあ、という期待は木っ端微塵に
砕かれた。「絶対王者」 とは、ヒョードルのことじゃないか。

さて、試合はというと、ミルコは左に動きながら、右のジャブと左のストレートを中心に攻めていた。
テイクダウンに対する警戒からか、キックはいつもより少ない。一方、ヒョードルはミルコの
正面に位置を取り、早い踏み込みから左右のフックの連打。打撃の応酬からクリンチへ、
そしてテイクダウンを狙っていた。

この試合で驚いたこと。それは前述したヒョードルが、オランダでの打撃修行 (キックの防御対策)
で自信を得たのか、ミルコの真正面に立ち位置を取ったことである。ミルコの蹴りを貰わない
自信があったのだ。事実、ヒョードルはミルコが蹴る動作を取った瞬間には、ハイ対策として
頭を下げるなり、右手のガードを上げるなりし、それと同時に右足を上げて、ミドルキックの
カットをする動作もしていた。恐るべしヒョードル。さらに、パンチの打ち合いでも、スピードで
完全にミルコを上回り、スタンドでもプレッシャーを大きく与えていた。それらにより、ヒョードルは
スタンドにおける間を完全に制していた。恐るべしヒョードル。ミルコはいつものようなプレッシャー
をヒョードルにはかけられなかった。ああなると辛い。ジリジリと相手を下がらせているからこそ、
打撃は当たり易くなるものだから。そして、ヒョードルはスタンドでのパンチの応酬から、
何度かクリンチ状態に持って行き、そこからかなり高い確率で、掛け技を使っての
テイクダウンにも成功していた。恐るべしヒョードル。右拳を怪我していて、これかよ・・・

ミルコのパウンド対策は万全だった。テイクダウン対策も可能な限りは出来ている。
しかし、それでも勝てなかった。ミルコが試合後に 「相手が自分の打撃のパターンを
研究し尽くしていて、スタンドで打ち負けた。」 と語っている通り、スタンド対策が万全では
無かったのだ。ミルコの元師匠、ブランコ・シカティックが 「ミルコは右足でのキックをもっと
磨くべき。」 と言うように、蹴りのバリエーションを増やすべきなのかもしれない。パンチならば、
もっとフックやアッパーを出せるようになったら良いのかもしれない。ショーグンのような相手を
振り回せる首相撲を覚えるべきなのかもしれない。今は頑張れ、ミルコ!としか言いようがねえ。

そういや、ミルコは苦しい時や負けそうな時って、いつも顔をシワくちゃにするよなあ。2回目の
インターバルの時、あの顔を5秒に1回くらいしていたよなあ・笑。表情に出ないようにしないと!

<ヒョードルとショーグンの共通項を列挙してみる>
身体能力が高いこと。特にスピードが早いこと。そしてスタミナが豊富であること。
スタミナの多さは、試合終盤になっても思考能力の低下が防げるから、かなり重要だ。
あと、体に柔軟性があること。それに技の引き出しが多く、同時に攻守に発想が豊富であること。
[PR]

by bigflag | 2005-08-31 01:10 | ・格闘技 - 総合 | Comments(0)  

Ana Mazzotti 「Ana Mazzotti 」 ('74)

まだまだ暑いこの季節、音楽で手っ取り早く涼を取ろうとなれば、やっぱりフェンダーローズの音色じゃないでしょうか。フェンダーローズ使いと言えば、ブラジルのフュージョン・グループ、Azymuth (アジムス)の Jose Roverto Bertrami (ジョゼ・ホベルト・ベルトラミ) は大好きな鍵盤使いの一人。

アナ・マゾッティが唯一残した、このアルバムは 1st アルバムをリリース直前のアジムスが前面的にバックアップしていたこともあり、レア・グルーヴが盛り上がっている時に、ロンドンのDJの誰かに発掘されたんだとか。アナ・マゾッティの詳しいプロフィールは不明。このアルバムには、ロバータ・フラックの 「Feel Like Makin’ Love」 のカバーが収録されているんだけど、これがまた良い。アナログ・シンセが曲全体を緩やかに覆い、そこへ残響音を生かすために手数を最小限にしたフェンダーローズがかぶせられる。このアナ・マゾッティという歌い手、バラードを歌う時はとても透明感のある声に変わるのだが、その歌声とフェンダーローズの相性がとても素晴らしい。

M1 は小気味良く弾かれるフェンダーローズが特徴的なメロウ・サンバ。ギターがファンキーな M2。M3 は糸を引くようなシンセをフューチャーしたバラード。M6 は歯切れの良いポルトガル語が生かされたブラジリアン・ファンク。などなど、汗がスッと引く涼曲の数々を堪能できる一枚。こちらでも、アジムスの素晴らしい演奏が聞ける。(試聴
[PR]

by bigflag | 2005-08-30 14:29 | ・Brasil / Africa | Comments(0)  

Kevin Saunderson 「Faces & Phases」 ('96)

デトロイト・テクノ創始者3人衆の一人、ケヴィン・サンダーソンのベスト・アルバム。2枚組全22曲のボリュームで、内容は、本人名義から1曲、REESE 名義から4曲、REESE & SANTONIO 名義から5曲、E-DANCER 名義から4曲、TRONIK HOUSE 名義から4曲、INNER CITY 名義から2曲、KREEM 名義から1曲、KEYNOTES 名義から1曲、となっている。8名義分のベストトラックが収録。

ケヴィン・サンダーソンが作るテクノっつったら、もうアレですよ。ぶっ太いベースライン、パーカッシブで硬質なビート、ネットリとしたシンセ、この3つの組み合わせです。この3つでどうにかこうにかやってます。単純明快。身体に訴えかけてくるダンス・ミュージック。思わず 「兄貴ッ!」 と呼びたくなるような無骨な魅力。Disc.1のM1・2・3・5・7 が好き。(試聴
[PR]

by bigflag | 2005-08-29 23:33 | ・Club Music | Comments(0)  

Sonic Youth 「Daydream Nation」 ('88)

ソニック・ユースは、1981年にサーストン・ムーア、キム・ゴードン、リー・ラナルドを中心に結成されたニューヨーク出身のロック・バンド。アルバムの冒頭を飾る 「Teen Age Riot」、これは本当にアルバムへの期待感を煽る曲で、これほど一曲目に相応しい曲はなかなか存在しない。もうこの曲を聞いただけで、集中して音楽を聞く、という姿勢が出来上がってしまう。ギターの細かいカッティングが疾走感を演出し、意外なほどにポップなメロディと曲全体を覆うノイズの微粒子が互いを導き合っている。全ロック・ファン必聴の超名曲。

もちろんカッコいい曲は 「Teen Age Riot」 だけじゃない。パンキッシュに始まって、途中で曲を地中に沈めてしまうかのようなノイズが凄い M2 「Silver Rocket」。地中から浮上していくタイミングもテンポも完璧。M3 「The Sprawl」 はミニマルな展開ながら、ギターのフレーズやテンポを微細に変化させて、飽きさせない。M4 「'Cross The Breeze」 は基本的には疾走感あふれる曲だが、突如、歪みを起こすようなヘビーなギターが加わり、不安を掻きたてられる。M11 や M12 の14分にも渡る組曲も良い。彼らほどソリッドな一体感を表現でき、理知的にノイズを注入できるロック・バンドはそういない。(試聴
[PR]

by bigflag | 2005-08-29 12:09 | ・Rock / Folk | Comments(2)  

CAN 「Future Days」 ('73)

カンは、1968年にドイツのケルンで結成されたロック・バンド。バンド・メンバーの誰かがおふざけ?で 「ロック・バンドになろうぜ!」 と言ったのが結成のいきさつというだけあって、いわゆるロック的なサウンドからかけ離れた音楽をカンは作り出した。30年も前にリリースされた、このアルバムで 「ポストロック」 はすでに完成をみている。

カンの音楽は、メンバーみんなが横並びで音を出している。ボーカル、ギター、ベース、ドラム、キーボードとあって、どれかが特別に目立つということがないのに、どのパートからもとても魅力的な音が聞こえてくる。そして、みんなが同じ一点を目指しながら音を奏でている。このあたりが、カンの魅力である不思議な浮遊感や疾走感に繋がっている。「Future Days」 は、これらの方向性に完成を見たため、最高傑作と言われるのだろう。ダモ鈴木の性格同様に風来坊なボーカルをはじめ、どの楽器の音色も地に足がついていない。が、彼岸の音楽という感じではない。とてもポジティブ。なんと言うか秘境の祭事で鳴ってそうな音楽。
[PR]

by bigflag | 2005-08-28 16:08 | ・Experimental | Comments(0)  

脱腸 (鼠径ヘルニア) 手術の備忘録

水曜日に前日入院で、木曜日が手術。本日、土曜日の午後に退院。退院までは思ったよりも早かったです。「脱腸」が人生初の手術だったんですけど、不安だったというよりも、実はちょっとワクワクなんかしてたんです。それもあってか、手術が始まるまで、看護婦さんや麻酔医さんとの会話に無駄な笑みをたくさんこぼしていたと思いますw。

手術の開始予定時刻は12:00。予定時刻通り12:00に看護婦さん2人が来まして、まずは緑色の手術衣に着替えて、ベッドに寝転がるよう指示を受けました。寝転がると、看護婦さんは一人が僕にネームバンドを付け、もう一人がストレッチャー(車輪つき移動ベッド)の車輪のロックを解除し、搬入用のエレベーターへと向かう。エレベーターに乗り込み、5Fの病棟から3Fの手術室に僕を運びました。手術室は衛生上の理由から、ステンレスの自動扉 (上下に下りる扉) のようなもので、他の部屋とドスーンと仕切られていました。ちなみに手術室に入るためには、病室のベッド ~ ベルトコンベア ~ オペ用のベッドという格好で移らなければなりません。「~」の所がステンレスの自動扉で仕切られており、患者は緑色のベルトコンベアに乗せられ、魚のように移動するのです。看護婦さんの指示通りに右半身を浮かせると、上手いことベルトコンベアに乗ることができました。

手術室側には、手術室を担当する看護師が控えており、ベルトコンベアで運ばれる僕を彼らがオペ用のベッドに手馴れた様子で乗せていました。そして、オペ室にベッドを運び入れ、ベッドの車輪と床を連結させ固定させる。腕を乗せる台が両端に運ばれてきて、両腕を固定する。それから、定期的に血圧を測るために自動血圧計を腕に巻く。腕に点滴の注射をする。心電図をモニターするために胸に心電計のシールを貼り、体内の酸素の量を知るために、クリップのようなものを指先に挟む。

 手術前の最後の大仕事、麻酔は下半身麻酔でしたので、
 脊椎に麻酔をしました。こんな風に体育座りに近い格好に
 なってから、麻酔部位周辺を看護婦さんに消毒され、
 麻酔医に注射されました。特に痛くはなかったんですが、
 針が刺さるとビクっと体が動いたこともあり、
 とてもキモチ悪かったです。



いよいよ執刀開始。手術開始は12:30でした。執刀医は50前の外科課長と30くらいの女医さん。あと看護婦が2人付いてました。下半身麻酔なので、意識はあります。だから医師や看護婦たちの会話が聞こえるんですよ。なんだか、会話を聞いていると、女医さんは脱腸の手術が初めてっぽくて、色々と外科課長さんに教わりながら執刀してそうで、少し怖かったり。

麻酔が効いているせいか、ウトウトしていたんですが、途中から(開始後45分くらいしてから)妙に痛くて目が一気に冴えました。ミゾオチが酷く痛いんです。腸がグイグイと引っ張られているのが分かるんです。「痛え痛え。」と言うと、看護婦さんは心配してくれたんですが、医者は「腸を引っ張ってるからちょっと痛いかも。しばらく我慢して。」 と事も無げに返してきました。麻酔効いてんじゃねえのかよッ、と突っ込む元気もなく、痛みに耐えて頑張っているとw、またウトウト。今度、目が冴えた時は、なんだか麻酔で動かない体がウズウズとしてきて、寝返り打ちてぇ~って気持ちが強くなったうえに、しかも時計を見ると、14:00ちょうどくらいで、手術開始から1時間半も経っていたのです。手術前に1時間くらいだと外科課長から聞いていたので、非常にストレスを感じました。結局、手術が終わったのは 14:15で、トータル1時間45分のオペでした。この15分が手術中、一番辛かったかも。

まあ、もっと辛かったのは、手術後の1日ですね。点滴打ちっぱなし、尿道には排尿用のチューブを入れられてるし、下半身は全く動かないし、微妙にウトウトしてるし、背中がムズいてくるしで、出来ることなら、もう2度と手術は受けたくないですね・笑。担当してくれた先生や看護婦さんたち、皆さん、どうもありがとうございましたー♪
[PR]

by bigflag | 2005-08-27 18:28 | ・徒然記 | Comments(4)  

LSK 「Outlaw」 ('03)

LSK こと Leigh Stephan Kenny (リー・ステファン・ケニー) は、アイルランド、フランス、カナダ、ユダヤ、アフロ・キューバンという複数の血が混じったイングランド人だ。そんな自分のことを 1st アルバム 『LSK』 収録の 「Roots (The Fruit of Many)」 という曲で、“たくさんのルーツが集まって実った果実” と自身を紹介している。

1st では、ソウルやロック、フォークなど様々なジャンルを土台にしたミクスチャー・サウンドで、自己表現していた。が、2nd アルバムである この 「Outlaw」 では、レゲエ一本を土台に据えた。レゲエを土台と言うと語弊があるかもしれないので、より正確に言うならば、打ち込みのあるポップ・ミュージックを土台に、そこへレゲエを大胆に取り入れたサウンド。ヒップホップとまではいかないが、ここには、ヒップホップへの憧憬がはっきりと見える。そして、様々なジャンルを土台にすることに替わり、多様なボーカル・スタイルを採ることで自らの複雑なルーツを表現しているのかもしれない。ソウルに影響されたボーカルに加え、ラップやレゲエ特有のコブシの効いたボーカル、ポエトリー・リーディングを自在に使い分けたり、融合させたりと、かなり変化に富んでいる。何よりもポジティブな力に溢れた LSK の声が良い。

全曲メロが良くて素晴らしいんだけど、特に好きなのは次の3曲。自らの少年時代を歌ったM2 「70's 80's」は、主旋律にホーンを被せた瞬間の高ぶりが良い。彼女に励まされたことを歌う M6 は、ソウルフルなギターがたまらない。メロの良さが際立っている。M7 「Rap Starr」 は、曲のタイトルからも分かるように、ヒップホップ・レジェンド達へのリスペクト・ソング。「昔はラップスターになりたかった」と、LSK はレゲエスタイルのボーカルで少しコミカルに歌う。道化っぽく振るまってはいるが、今の自分への強烈な自負を感じさせる。

LSK の作品は、ルーツ・レゲエのような独特の 「間」 を持った引き算的な音とは違い、土台にヒップホップやソウル、クラブ・ミュージックといった様々なジャンルをミックスする音作りをしている通り、足し算的な音。また、時折見せるダビーな音処理はもちろんだが、生演奏に打ち込みを加えることで、LSK の 「ルード」 な側面を上手く強調した音になっている。傑作なのにあまり話題になっていないのが惜しい。とてもポップなアルバムだから、レゲエ入門にもなるし、現在進行形のレゲエとして聞いても非常に面白い。歌詞もボーナストラックも良いので、日本盤がお勧め。(試聴
[PR]

by bigflag | 2005-08-23 23:08 | ・Reggae / Dub | Comments(0)  

Fela Kuti 「Opposite Peaple / Sorrow Tears and Blood」 ('77)

フェラ・クティが生み出したアフロビートは、ハイライフと呼ばれるナイジェリアのジャズ、ジェイムス・ブラウンの生み出したファンク、アフリカ音楽に脈々と流れるミニマリズムを結合し、溶出させたフェラ流のジャズ・ファンクで、果て無きグルーヴを求めるミュージシャンたちに、多くの示唆を与えてきた。そして、今もフェラの作った音楽はグルーヴを求める人々の耳に、全身にビートを力強く刻み続けている。残念ながら、フェラ・クティはエイズによる合併症のため、1997年に59歳で死去している。

フェラ・クティの音源は、最高傑作として名高い 「Zombie」 から聞き始める人が多いと思うんだけど、数多いアルバムの中から、「Zombie」 の次にどれをチョイスすれば良いんだろうか、と思う人もまた多いはず。そこでお勧めしたいのは、「Opposite Peaple」 と 「Sorrow Tears and Blood」 がカップリングされた本作。発売はともに77年。このアルバムの曲が録音された76~77年にかけて、フェラは全部で11タイトルもリリースしており、まさしくフェラの絶頂期と言える。フェラ (TS、AS、Key) とダンサーを除く総勢15人?(*)のメンバー(Africa 70)が重厚なアンサンブルやポリリズムを生み出している。

* バリトン・サックス、トランペット×2、ギター×2、ベース、ドラム、コンガ×2、マラカス、スティックス

"Opposite Peaple" は "Zombie" ほど前のめりではないが、アップテンポな曲。前のめりとまでは行かない、この速度はフェラにとってベストな速度ではないかと思う。というのも、フェラはサックスをあまり早く吹くのが得意ではない。性急な "Zombie" だと、いささかリズムから遅れたりもしているw (そんなことは別にどうだっていいのだが)。それに加えて嬉しいのは、フェラのどこかファニーなキーボードを開始30秒で聞けること。トニー・アレンのドラムは所狭しとカタコトピシバシと鳴り続けているし、ブラス陣のアンサンブルがフェラをこれでもかと盛り上げ、また煽りまくっている。リズム・セクションが延々と同じリフを演奏し続けることで照射された太い一本の道筋を、フェラがサックスやキーボード、ボーカルを武器にして闊達自在に暴れまわる。また、脇に控えたトゥンデ・ウイリアムス (Tr) を中心としたブラス陣がフェラを煽りまくる。特に12分50秒あたりで、フェラのボーカルとキーボードとタイトなブラス陣やコーラスとの絡みは筆舌に尽くし難いものがある。
"Sorrow Tears and Blood" は、フェラの自宅 (カラクタ共和国) が、1000人もの軍人に襲撃された直後(死者も出ている)に作られた曲で、「誰だって死にたくはないんだ」 という悲痛なメッセージを歌にしており、沈鬱な雰囲気が曲中を覆っている。"Colonial Mentality" は、ゆったりとしたミドルテンポの曲ながら、非常にソリッドなリズムで締まった演奏になっている。そんな演奏にフェラも気分が良さそう。それゆえか、曲に対するフェラのサックスのノリが本当に良い。7分30秒もサックスを吹いてますw。それにしても、フェラの感情が先行しまくるボーカルやサックスは本当に素晴らしい。(試聴
[PR]

by bigflag | 2005-08-22 22:35 | ・Brasil / Africa | Comments(2)