Yesterdays New Quintet 「Angles Without Edges」 ('01)
端的に言ってしまえば、アブストラクト・ヒップホップのフィルターを通して、70年代のフュージョンやスピリチュアル・ジャズを再構築したサウンドだが、この名義におけるサウンドの肝は、その所在ないグルーヴにある。根なし草的な感覚を有する、このグルーヴは非常に現代的で、世相をストレートに嘆くだけのラップよりもよほどリアル。モッタリしながらバタつく Madlib 特有のドラムや茫洋としたスモーキーなベースには、どこか病めいたものを感じる。一方、そうしたリズム・セクションを優しく包むフェンダーローズやヴィブラフォンによる、緩く心地良い音色には母性的な包容力があり、聞く者に癒しを与えてくれる。(試聴)
by bigflag | 2009-03-06 00:40 | ・Cross Over / Fusion