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Susumu Yokota 「Acid Mt. Fuji」 ('94)

ススム・ヨコタ (横田進) は、90年代の初頭、クラブ・ミュージック黎明期から活動を続けてきたベテラン・ミュージシャン。多作で知られていることもあり、一番のヒット作である 「Sakura」 を除けば、完全に手つかずだったんだけど、信頼するブロガーさん方の熱心な布教活動に影響を受けて(笑)、ここ2年ほどかけて彼の作品をコツコツと集めていた。そして、ようやくススム・ヨコタというミュージシャンの輪郭がつかめてきたので、お気に入りのアルバムをいくつか紹介していきたい。

ススム・ヨコタは、単に多作であるだけでなく、発表する音楽もテクノやハウスに限らず、ディスコ、アンビエント、エレクトロニカなど多岐に渡る。本作はというと、そのタイトル通り、アシッド・ハウス色の濃い作品。ただ、類型的なアシッド・ハウスとは程遠いもので、アシッドの効いたアンビエント・ミュージック、という風変りなサウンドを本作では聞くことができる。また、邦題は 「赤富士」 となっており、葛飾北斎による "赤富士" からインスパイアされた作品なのだそう。

ジャケットに写る、背景とともにピンク色に染め上げられた富士山は、神秘性を備えていると同時に、原画にはない得体の知れなさを感じさせる。ここにヨコタの描きたかったテーマがあるのではないかと思う。それは、つまり、神秘なるものが我々に呼び起こす畏怖の感情だ。"赤富士" を題材にして、こうした内から染み出るような感情を描くあたりは、後の 「Sakura」 などの作品に通じるものがある。こうした表現のセンスは、昔から備わっていたものなんだなぁ。アルバムのタイトルも秀逸。いくつか聞いた中でも、これはかなりお気に入りの作品。



by bigflag | 2009-04-01 22:31 | ・Club Music  

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