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Michael Jackson 「Off The Wall」 ('79)

マイケル・ジャクソンの曲を初めて聞いたのは (もちろん "Thriller" や "Beat It" などの有名曲は何の気なしに聞いたことはあった)、1992年にリリースされた 「Dangerous」 の先行シングル "Black Or White" だったと思う。今はまったく聞かなくなってしまったけれど、その頃の僕は FM802 を愛聴していたので、リリース当時、802で四六時中流れていたこの曲のことをよく覚えている。ただ、この曲をきっかけにマイケルの作品を掘り下げて聞くようになったのかというと、実はそうでもない。

マイケルとの2度目の出会いは、僕がソウルやファンクなどのブラック・ミュージックにハマり始めた時期だ。郊外のレンタルCDショップに置いてあるソウルやファンクといえば、James Brown、Sly & The Family Stone、Isley Brothers、Stevie Wonder、Marvin Gaye、Curtis Mayfield、Earth Wind & Fire や Prince などのように、とても限られた有名アーティストたちの作品だけだったが、ブラック・ミュージックの虜になるには十分な作品ばかりだった。

もちろん、マイケルの作品もそのレンタルCDショップの棚に並んでいたのだが、"Black Or White" のポップなイメージが残っていたこともあり、マイケルの作品を手に取ったのは最後のことだった。そして、マイケルの作品で一番最初に聞いたのが本作だった。「Off The Wall」 を初めに選んだのはなぜか。その理由はとても単純で、Prince を除けば、先に聞いていたソウルやファンクの名盤は、そのどれもが70年代に作られた作品だったからだ。要するに、アルバムが制作された年を基準にして決めたのだ。

この単純なチョイスは、ソウルやファンクに傾倒していた当時の僕にとっては正解だった。初めに 「Off The Wall」 を手に取らなければ、Jackson 5 まで掘り下げることもなければ、「Thriller」 以降の作品を聞くこともなかったかもしれない。とはいえ、Jackson 5 や 「Bad」 以降の作品の熱狂的な支持者というわけでもないのだけれど。。。

本作のサウンドを一言で表すなら、ディスコ調のソウルやファンクということになるのだが、ディスコ成分の匙加減が絶妙なのだ。マイケルの個性を生かす音作りがなされた結果、ディスコ特有の下世話な感じがないのだ。では、何があるのか。それは、エレガンスであり、"かわいげ" なのだ。こんなディスコ・ミュージックは他にはない。そして、このプラスアルファこそが、マイケル・ジャクソンが生来持つ個性である。僕がリアルタイムで知ったマイケルは既にスキャンダラスな存在となっていたので、こうした魅力は後から掘り返すことで感じたに過ぎないのだけれど、マイケルがスキャンダラスな存在になってもなお多くの人に愛され続けたのは、こうしたパーソナリティを彼のファンがずっと忘れずにいたことにあるのではないかと思う。

優しいメロディと緩やかなグルーヴが心地良い、ミドルテンポのダンス・チューン M2 "Rock With You" と M5 "Off The Wall" には、そうしたマイケルの持つエレガンスや "かわいげ" が凝縮された素晴らしい名曲だ。そして、僕を一発で虜にしたオープニングの "Don't Stop 'Til You Get Enough" は、奇跡のディスコ・ソング。マイケルの美しい声を堪能できるバラードが並んだレコードのB面も素晴らしいのだが、ダンス・ナンバーを並べたA面がやはり最高に素敵で格好良いと思う。

   

by bigflag | 2009-07-12 01:47 | ・Funk / Soul / R&B  

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