Such A Funky Thang! -久保田利伸を語る- Vol.5
アフリカ、ブラジル、ラテン・ミュージックやレゲエなど、様々な音楽に久保田が浮気している間に?、アメリカのブラック・ミュージック・シーンでは、ニュー・ジャック・スウィングに続く、新たなリズムの革新が起こっていました。それは、ヒップホップ・ソウルと呼ばれたムーブメントです。その象徴的存在が、ヒップホップ・プロデューサーである Puff Daddy こと Sean Combs のバックアップを受けて、1992年にデビューした Mary J. Blige です。彼女の何が新しかったかというと、ヒップホップのビートだけの接近だった NJS から一歩進んで、ビートのみならずテンポまでもヒップホップへ接近するサウンドを披露したことにあります。ビートダウンしたテンポと、ボトムのベースラインが太くなったサウンドは、都会的なクールネスに溢れていました。
Mary J. Blige のデビュー作 「What's the 411?」 はヒップホップ・ソウルと呼ばれ、90年代のソウル・ミュージックの方向性を決定づけたのです。左下の動画は Ohio Players の "Pride And Vanity" をサンプリングしたアルバム・タイトル曲ですが、オリジナルのベースラインを見事に再生しており、新たな息吹を感じさせてくれます。
ただ、この衝撃をもって受け入れられたデビュー作よりも、ヒップホップ・ソウルの完成形を見せた 2nd 「My Life」('94) の方が、クオリティは遥かに高いです。Mary J. Blige の最高傑作である 2nd からは、3曲を紹介しておきます。右上は Mary Jane Girls の "All Night Long" をサンプリングした "Mary Jane" で、左下は Curtis Mayfield の "Give Me Your Love" を使った "I'm The Only Woman"。右下は同じく Curtis の "You're So Good To Me" を下敷きにした "Be Happy" です。いずれも大ネタ使いで元が良いだけに(笑)、いま聞いても格好良い曲です。
by bigflag | 2010-05-05 11:06 | ・久保田利伸を語る