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2010年の音楽ベスト Vol.1

昨年は、以前から考えていた、アメリカのブラック・ミュージックを交えた久保田利伸の特集をしたことが、当ブログ的には大きなトピックでした。そして、サッカーW杯の南アフリカ大会。あと、ブログでは特に触れませんでしたが(笑)、マイルス・デイヴィス自叙伝の再読に加えて、中山康樹のマイルス本を読んだことで、マイルス熱が非常に上がっておりました。そんなこともあって、新譜を聞いていた時間は、例年より少なかった気がします。

まあ、新譜を聞く時間が少なくなったのは、完全に個人的な事情なので(笑)、昨年にリリースされた作品が不作だったかというと、そんなこともなかったと思います。ただ、個人的に期待していたグリッチ・ホップと呼ばれる類の音楽が、シーンの立役者である Fliyng Lotus 本人の作品以外に、目ぼしいものがなかったのは残念だったかなと。

では、まず、ベストのアルバム10枚 (順不同/アルファベット順) から紹介していきます。

◆Best 10◆
 1. Drake / Thank Me Later
歌とラップを自在に使い分けるトロント出身のラッパー/シンガーによるデビュー作。冒頭の3曲を始めとするアーバンな空気漂うシンプルなトラックが秀逸。花火の爆発音をサンプリングした "Fireworks" は、夏の定番になりそう。

 2. Flying Lotus / Cosmogramma
LA在住のヒップホップ/エレクトロニカ系プロデューサーによる3rd。前作では原初的なポリリズムをダブステップばりのベースとともに聞かせてくれたが、本作では原初に向かうようなコズミックで混沌としたサウンドが印象的。DNA の二重螺旋構造を想起させるサウンド絵巻。宇宙ジャズの現在形がここに。

 3. Kimonos / Kimonos
向井秀徳がLEO今井と組んで、「Zazen Boys 4」 で見せた80's 路線を進化させたコラボ作。チープなサウンドなのに、これだけヒリヒリとした空気を生み出しているのは、やはり向井秀徳という個性のなせる技。Zazen Boys の時みたいに変声で歌っていないのも良いです(笑)

 4. LCD Soundsystem / This Is Happening
James Murphy によるディスコパンク・プロジェクトの3rd。中年太りしたオヤジが 「これで最後」 と宣言した作品は、だらしなくて甘いポップ・ミュージックだった!! 本人が踊ってるアルバムジャケットを見てるだけで、なんか切なくなる。でも、これで最後じゃなかった(笑)

 5. Mim Suleiman / Tungi
UKで活動するアフリカ系の女性シンガーのデビュー作。テクノ/ハウスを通過したエレクトリック・ファンクに、スワヒリ語の女性ヴォーカルが乗る一風変わったサウンド。プロデュースは Maurice Fulton。カリンバを使ったアフリカン・ハウスなど、本物のアフロ・グルーヴを聞くことができる。

6. Napoleon/ Bohemians Won The Series & The Little Guy Joined The Band
スウェーデンの10人編成の大所帯バンドのデビュー作。なのに、やってる音楽は、モータウン/フィリー・ソウル系譜のポップ・ミュージックという変わり種。全曲が天然のB級ポップ・ソウルといった感じで楽しすぎる。多分、バンドのリーダーがそういう性格なんでしょう(笑)。オザケンの 「LIFE」 好きなら必聴!!

 7. Skream / Outside The Box
ロンドン出身のダブステッパーによる 2nd。UKガラージ、ジャングル、レイヴに回帰するなど、拡散するダブステップのシーンと呼応する多彩なサウンド。とはいえ、サウンドの土台たるベースは相変わらずヘビーで、自身の出自もしっかりと刻印されている。新旧のサウンドを融合させて、さらに前進。

 8. Toro Y Moi / Causers Of This
サウスカロライナ出身の Chaz Bundick によるソロ・ユニットのデビュー作。現在ブーム中である Chillwave/Glo-Fi シーンの決定盤と言える傑作。レイドバックしたメロディに、緩いながらも粘着質のビートが絡み合い、蜃気楼のような音像を生み出している。これを聞きながら、夢の中のまた夢の中へ・・・

 9. Trentemoller / Into The Great Wide Yonder
コペンハーゲン在住のクリック/ミニマル系プロデューサーによる2nd。デビュー作にそこはかなとなく漂っていた、あのジメジメとしたロック魂(笑)を全面に発揮しており、シューゲイザー/ニューウェーブ色がとりわけ強く出ている。幻想的でメランコリックなメロディは、相変わらず映像的で素晴らしい。

 10. やけのはら / This Night Is Still Young
鳴り響くアーバンソウルは "Rollin’ Rollin’" だけじゃなかった!! 全部すばらしいわけではないけれど、"Day Dreaming" や "Good Morning Baby" など、心に響くアーバンソウルが他にも。中でもキミドリの "自己嫌悪" のカバーは、歌詞の修正含めて、いま成しうる最高のアップデート。不意に刺さると思わず涙。


Vol.2 へ続く・・・

by bigflag | 2011-01-05 22:42 | ・音楽 - 年間ベスト  

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