Black Dog Productions 「Bytes」 ('93)
彼らが持ち寄った音は、デトロイト・テクノに影響を受けた浮遊感あふれるメロウなシンセと複雑なブレイク・ビーツが高次元で融合されたものだった。いや、複雑なのはビートだけではない。ウワモノはかなり多層的に編み込まれており、シンセとビートが隙間なく間断なく絡み合う様は、ポリリズミックで非常に理知的だ。が、それでいて難解さは全くない。メロディが叙情的で柔らかく、それが心地良さを多分に感じさせるからだろう。デトロイト・テクノのような高みに昇っていくような感覚とは違い、地面から湧き上がってくる水を想起させる音だ。次々と地割れを生み出す力を持っている水だ。M2 のイントロを聞くと、泡が小さな穴から吹き出して行く様が思い浮かぶ。
3枚のアルバムを出した後、彼らは袂を分かつ。エドとアンディーは Plaid 名義で(再結成)、ケンは引き続き Black Dog で活動している。Close Up Over、 Xeper、 I.A.O はケンの別名義。Atypic はアンディーの別名義。Discordion Popes、 Balil はエドの別名義である。Plaid は勿論、エドとアンディー。(試聴)
by bigflag | 2005-03-15 22:28 | ・Club Music