LSK 「Outlaw」 ('03)

LSK こと Leigh Stephan Kenny (リー・ステファン・ケニー) は、アイルランド、フランス、カナダ、ユダヤ、アフロ・キューバンという複数の血が混じったイングランド人だ。そんな自分のことを 1st アルバム 『LSK』 収録の 「Roots (The Fruit of Many)」 という曲で、“たくさんのルーツが集まって実った果実” と自身を紹介している。

1st では、ソウルやロック、フォークなど様々なジャンルを土台にしたミクスチャー・サウンドで、自己表現していた。が、2nd アルバムである この 「Outlaw」 では、レゲエ一本を土台に据えた。レゲエを土台と言うと語弊があるかもしれないので、より正確に言うならば、打ち込みのあるポップ・ミュージックを土台に、そこへレゲエを大胆に取り入れたサウンド。ヒップホップとまではいかないが、ここには、ヒップホップへの憧憬がはっきりと見える。そして、様々なジャンルを土台にすることに替わり、多様なボーカル・スタイルを採ることで自らの複雑なルーツを表現しているのかもしれない。ソウルに影響されたボーカルに加え、ラップやレゲエ特有のコブシの効いたボーカル、ポエトリー・リーディングを自在に使い分けたり、融合させたりと、かなり変化に富んでいる。何よりもポジティブな力に溢れた LSK の声が良い。

全曲メロが良くて素晴らしいんだけど、特に好きなのは次の3曲。自らの少年時代を歌ったM2 「70's 80's」は、主旋律にホーンを被せた瞬間の高ぶりが良い。彼女に励まされたことを歌う M6 は、ソウルフルなギターがたまらない。メロの良さが際立っている。M7 「Rap Starr」 は、曲のタイトルからも分かるように、ヒップホップ・レジェンド達へのリスペクト・ソング。「昔はラップスターになりたかった」と、LSK はレゲエスタイルのボーカルで少しコミカルに歌う。道化っぽく振るまってはいるが、今の自分への強烈な自負を感じさせる。

LSK の作品は、ルーツ・レゲエのような独特の 「間」 を持った引き算的な音とは違い、土台にヒップホップやソウル、クラブ・ミュージックといった様々なジャンルをミックスする音作りをしている通り、足し算的な音。また、時折見せるダビーな音処理はもちろんだが、生演奏に打ち込みを加えることで、LSK の 「ルード」 な側面を上手く強調した音になっている。傑作なのにあまり話題になっていないのが惜しい。とてもポップなアルバムだから、レゲエ入門にもなるし、現在進行形のレゲエとして聞いても非常に面白い。歌詞もボーナストラックも良いので、日本盤がお勧め。(試聴
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by bigflag | 2005-08-23 23:08 | ・Reggae / Dub | Comments(0)  

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