SUBA 「São Paulo Confessions」 ('99)

SUBA (スバ) はユーゴスラビア人ながらも、ブラジルのサンパウロで活動していたという少し変わり種のミュージシャン。過去形なのはこのアルバムのリリース後、すぐに自宅スタジオの火事が原因で焼死してしまったため。享年38歳だった。

変わり種なのはその経歴だけではない。SUBA の創った音楽も同様に新しい感覚に満ちたものだった。基本はダウンテンポのエレクトリック・サンバ。ブレイクビーツの上に、SUBA 自身が弾くメランコリックなキーボードやピアノ、ブラジル人ミュージシャンによる生ドラム/パーカッションやギター、そして憂いを湛えた女性ボーカルが乗る。こう書くと、其処彼処に溢れているカフェ系のブラジリアン・ミュージックを想像してしまいそうだが、このアルバムで聞ける音はそういったカテゴライズを実にあっさりと飛び越えている、あるいは、さり気なく拒否している。カフェ系と括るには、毒が効き過ぎているのだ。しかも巧妙に。例えば、M2や7で聞けるノイズ・コーティングされたキック、M3 の眩暈を起こしそうになるシンセ、M6 のホーン(*)、M8 の揺らぎ過ぎているシンセ、M12 で聞ける不気味なギターの音色など、心地良さを追求するだけの音楽には不必要なものばかりだ。でも、それがみんな全て全部カッコいいのだ。
(*曲はジョビンの Felicidade だが、これは数あるカバーの中でも図抜けた出来)

SUBA の使うシンセやキーボードの浮遊感のある音色にはデトロイト・テクノの影響も伺える。中でも M9 はデトロイト・テクノ+サンバという直球勝負の曲で、パーカッシブな打ち込みとパーカッシブに弾かれるカヴァキーニョ (ブラジルの弦楽器) がめちゃくちゃカッコいい。あと、SUBA ほどブラジリアン・パーカションをクールに使いこなしたミュージシャンはなかなかいないと思う。何よりも、ブラジル音楽をネクスト・レベルに上げたミュージシャンであるだけに、その早い死はとても惜しまれる。(試聴
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by bigflag | 2006-01-08 22:07 | ・Brasil / Africa | Comments(2)  

Commented by mats3003 at 2006-01-09 01:10
どうも、あけましておめでとうございます。
subaって死んじゃったんですね。知りませんでした。
DMRで曲を聴いて、無茶苦茶かっこよくて、衝動買いをしたことがありました。
Commented by bigflag at 2006-01-09 12:18
mats さん、あけましておめでとうございます。
僕が suba を知った時は、もう既にお亡くなりになってましたんで、
喪失感こそ無かったんですけど、すごい残念でした。

火の中に自分の音源を取りに戻って、そのまま戻ってこれなかったという
エピソードを知った時は、ちょっと泣きそうになりましたね。。。

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