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細野晴臣 「トロピカル・ダンディー」 ('75)

エキゾチック三部作の一作目。こんな楽しいアルバムを言葉で説明するのは何だかヤボな気もするが、細野さん自身がこのアルバムのコンセプトについてライナーで語っているので、まずはそれを抜粋して紹介したい。

「僕の好きな港は上海、香港、横浜、ニューオリンズ。船の経路は上海から東京では駄目で、上海からフランス、スペインを通って、西インド諸島に運ばれ、それがニューオリンズ港に陸上げされ、そこで初めて東京に持って来る。シルクロードの通る大陸の香り、パリの粋な優雅さ、スペインの情熱、アフリカのエネルギー、カリブの潮の香り、それが何でも包みこんでしまうアメリカ大陸へ渡り、アメリカのニオイが最後の香辛料として仕上げている。僕はこれにもう一度太平洋を渡ってきてもらって、しょう油の味をひと滴たらしてみたい。これを “ソイソース・ミュージック” と名付けてしまった」

ハワイのエキゾ音楽家であるマーティン・デニー、彼の音楽に見る“いかにも”という西洋的オリエンタリズムを東洋人が真似る、という少々ブラックな諧謔が三部作の基本コンセプト。コンセプト倒れに終わりかねないこの挑戦が、少しも嫌味でなく旨みのある音楽に仕上がっているは、細野さんの音楽への深い造詣、そして、トボけたキャラクターがそのまま音に反映しているからでしょう。

「トロピカル・ダンディー」 に収められた曲は一作目ということもあってか、まだ煮込み始めという印象だが、「ハリケーン・ドロシー」 や 「北京ダック(テンポの速いシングル版も良い)」 など何とも言えない愛嬌のある曲が多く、後のニ作に比べるとポップで一番かわいげのある作品。音も良いけど、細野さんの優しくて野太い声も好きだなあ。夏の楽しき音楽旅行!!!(試聴

by bigflag | 2006-07-27 23:18 | ・Exotic / Ethnic  

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