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Chick Corea 「Return To Forever」 ('72)

クロス・オーバーというジャズの新時代到来を告げた、チック・コリアによる歴史的名盤。Miles Davis が Jimi Hendrix や Sly & The Family Stone に触発されて、ロックやファンクとジャズの融合を追求する一方、この時期のチック・コリアはブラジル音楽などを中心とするラテン・ミュージックとジャズの融合、そしてジャズのエレクトリック化を図っていた。このことはチック・コリアがイタリア系アメリカ人であること、あるいはデビュー当初における Mongo Santamaria (モンゴ・サンタマリア) や Willie Bobo (ウィリー・ボボ) といったラテン・ミュージシャンとの共演経験が関係していると言われている。

飛翔するカモメのスピード感を見事に収めたジャケ写が印象的で、アルバムの通称は当然 “カモメ”。エレピを中心とする爽やかなメロディとタイトなリズム・セクションが生み出す緊張感あふれる演奏、フルートとアルト・サックスが奏でる幻想的な調べ、そして毒入りの美しい女性コーラスが常に耳を刺激する。

当時、隆盛を誇っていたプログレッシブ・ロックの影響が伺える M1 「Return To Forever」 はバチバチの変拍子サウンドながら、エレピが主役になっているため暑苦しさが全くなく、むしろ心地良いほど。どことなく不穏な出だしから、一気にアッパーになる展開は少々オクスリの臭いも…w。要はトベるっつうことです。M2 「Crystal Silence」 はタイトル通り非常に美しいアンビエントな曲。M4 「Sometime Ago – La Fiesta」 は爽快感、飛翔感、躍動感、酩酊感が交錯し、スペイン趣味など含め当時のチック・コリアの全てを詰め込んだ23分の大作。

by bigflag | 2006-09-25 23:58 | ・Cross Over / Fusion  

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