Lindstrom & Prins Thomas 「Lindstrom & Prins Thomas」 ('05)
「2003年の終わり頃に作った数曲が12インチ向きじゃなかったから、アルバムを作ることにしたんだ。クラブ向けよりはリスニング向けにしたかった。できるだけ生楽器を使ってライヴ感を大事にしたかったんだ。俺たちはポップ、フォーク、サイケ……70年代のあらゆるジャンルに影響されていると思うよ。70年代の暖かさと80年代のクールな感じを融合させた、というか未来的なプロダクションをレトロな方法でプレイしたっていうほうがマッチしてるかな」
bounceのインタビューで二人がこのように語っている通り、個々で活動している時にリリースしている音源と比べると大人しめ。どの曲にも程度の差こそあれど、ユーロ・ディスコをダウンテンポ化させて、そこにアコギやピアノにドラムといった生楽器を使って北欧らしい清涼感のあるメロディを紡ぎ出しており、"ベッドルーム・ディスコ" とでも呼べそうなほんの少しの新しい感覚がある。
ただ、ダウンテンポそのものな M5・6・9 なんかも良いんだけど、M1・2・7・8・12 のようなダンストラック寄りのものに、やはり彼らの本領を感じるのも事実。そして、良質なトラックが揃う中で、圧倒的な存在感を見せるのが M10 "Horseback"。ジャーマン・プログレの雄、CAN の 「Future Days」 を彷彿させる曲で、あの独特の柔らかい浮遊感と似たグルーヴがあり、もう音に身を任せるだけ。この曲はホントに良い。あとは、ギターとエレピの微妙な揺れと歪みが絶妙な M11 "Claudja" もなかなかの逸品。(試聴)
by bigflag | 2007-03-05 23:25 | ・Club Music