Derrick May 「Innovator」 ('96)
デトロイトのゲットーで生まれ育つとは、どういうことなのか。そこには、貧困と犯罪に囲まれた非常に過酷な状況が待っており、それは生まれながらにして絶望を背負う、ということを意味するのだそう (デリック・メイは出身こそ中産階級らしいのだが)。こうした状況に対して音楽で意志を表明する。そうした土壌がデトロイトにはあるのだ。
デリック・メイは、その絶望を現実への怒りとして激しい音で表現するのではなく、現実を一瞬でも忘れることのできるような音、つまり、地上(=現実)を離れ宇宙に思いを馳せることができるような音を選んだ。だから、そのメロディは刹那的であり、甘く美しい。それと同時に深い哀愁を感じさせるものでもある。(試聴)
by bigflag | 2004-11-03 08:20 | ・Club Music