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Jackie Mittoo & The Soul Brothers 「Last Train To Skaville」 ('03)

ジャッキー・ミットゥは、ジャマイカはキングストン生まれの鍵盤奏者で、スカを代表するバンドのひとつである Skatalites (スカタライツ) に、なんと14歳のときに参加したという神童。1965年のスカタライツ解散後、同僚のサックス奏者 Roland Alphonso(ローランド・アルフォンソ) とともに結成したのが、今回紹介する The Soul Brothers。

The Soul Brothers としては、オリジナル・アルバムを2枚リリースしているそうなんだけど(未聴)、本作はそれらに収録されなかったシングルを中心にコンパイルしたもので、1965年から1967年にかけて Studio One にて録音された音源だそう。ジャッキーのロック・ステディ期以降のベスト盤 「The Keyboard King At Studio One」 を編んだ、Soul Jazz からのリリースということで、本作の選曲も間違いなし。

Jackie Mittoo といえば、やはりオルガンというイメージが強いミュージシャン。"Voodoo Moon"、"Ska Shuffle"、"Take Ten"、"Got My Boogaloo"、"Home Made" と、ジャッキーがオルガンを弾いている曲が5つ収録されているんだけど、それらの曲を聞くと、彼がオルガンを弾き始めたときに、ロックステディの芽が出始めたんだなあとシミジミ感じてしまう。ただ、The Soul Brothers は、Skatalites の延長線上にあるバンドのためか (Skatalites ではピアノしか弾いていなかったらしい)、オルガンの入った曲は少ない。

とはいえ、サウンドがロック・ステディへと完全に移行した、ソロ・デビュー以後の作品とは一味違う、ルーディな雰囲気がとても格好良い。"James Bond" や "From Russia With Love (ロシアより愛をこめて)" などは非常にジャマイカ人らしいというか、何でもジャマイカ色に染めてしまうのはさすが。しかし、Soul Jazz の作品はアルバム・ジャケットがどれも格好良いし、汽車の汽笛の音でアルバムの幕を開けるなんていう演出も粋!!! (試聴

   

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by bigflag | 2009-08-31 00:37 | ・Reggae / Dub | Comments(0)  

JAGATARA 「ごくつぶし」 ('89)

JAGATARA の 5th アルバム。本作リリースの一ヶ月後、1990年1月27日に江戸アケミが入浴中に事故死してしまったため、事実上、本作が彼らの最終作となった。メジャー・デビュー作となった 4th 「それから」 が8曲入りと、JAGATARA に変名以降では最も小品が並ぶ作品だったのに対し、本作は収録曲がわずか3曲。オープニングの "Super Star?" に至っては20分を越える長さで、大作志向の強い作品となっている。そして、「君と踊りあかそう日の出を見るまで」 に収録されていた、あの "Big Door" が遂にスタジオ録音されている。

収録曲の全てが、複数の曲を継ぎ接ぎに足されたような構成のため、せわしないというか分裂症的で、危なっかしい印象を受ける。ラテン・ミュージックを取り入れた "Super Star?" は新境地と言えるサウンドなんだけど、歌詞やメロディ含め、徐々にもの悲しく収束していくそのサウンドは、バンド活動の終わりを予見していたのかと思うほどだ。こうした不安定さを感じさせる楽曲を制作した時期に、"Big Door" を再演したのも必然のことなのかもしれない。本作の後、OTO を中心にして2枚の作品をリリースし、JAGATARA は正式に解散している。(試聴
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by bigflag | 2009-08-26 23:25 | ・Rock / Folk | Comments(0)  

JAGATARA 「ニセ預言者ども」 ('87)

前作 「裸の王様」 と同年にリリースされた 3rd アルバム。「裸の王様」 と本作の間には、「ロビンソンの庭」 という映画のサウンドトラックも制作しており、JAGATARA のバンド活動が最も活発になっていた時期で、この時期こそが彼らの最盛期と言えるだろう。

Fela Kuti の影響が顕著だった 「裸の王様」 と比較すると、アフロビート色はやや薄まり、ファンク・ロック色の強いサウンドへと変化している。ワンコードでひたすら疾走していた 「裸の王様」 にあった軽快さはなくなってしまったが、激しくアジテーションする江戸アケミのヴォーカルに表れているように、JAGATARA 史上最もアグレッシブな作品に仕上がっている。そんなアグレッシブな作品の最後を飾るのが、JAGATARA 史上最も壮麗な M4 "都市生活者の夜" という曲。

音楽と合わせて聞いてこそ意味のあることだが、"昨日は事実、今日は存在、明日は希望" というわずか3つのフレーズで、リスナーに対して、これほどポジティブな感情を喚起させる歌もそうそうない。人生において強い孤独を感じたことがある人ほど、この曲の持つ真摯な世界観に深く共感でき、また、込み上げてくる感情を抑えられなくなるはずだ。そんな人間が作った音楽だからこそ、M2 "みちくさ"(YouTube) における "お前の考えひとつで、どうにでもなるさ" という、ありきたりなメッセージでさえも力強く心に響く。
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by bigflag | 2009-08-23 22:40 | ・Rock / Folk | Comments(0)  

JAGATARA 「裸の王様」 ('87)

江戸アケミの精神病院への入院、そして退院を経てリリースされた 2nd アルバム。前作 「南蛮渡来」 も Fela Kuti の影響を感じさせる作品だったが、もっと大胆にアフロビートを取り入れたサウンドへと変化。それに伴い、全4曲で各々10分前後と、収録曲の全てが長い楽曲で構成されている。ギタリストのOTOによると、"曲の途中で飽きない、JAGATARA流アフロビートを作る"(要約) という構想があったのだそう。

その構想通りに、ノリが良く疾走感のある曲が3つ、オープニングからアルバムを駆け抜ける。曲こそ長いが、JAGATARA 史上、最もポップで軽快な作品と言える。ヤヒロトモヒロによるパーカッションの働きが特に大きいのだが、赤ん坊が聞いてさえ踊り出しそうな陽性のファンキー・ミュージックに仕上がっている。パーカッションに限らず、メンバーの演奏がかなり充実しており、ホーンやギターのソロやアンサンブルのことごとくが格好良い。他とはカラーが唯一異なる、レゲエを取り入れた "もうがまんできない" も江戸アケミ的な世界観の真骨頂のひとつ。



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by bigflag | 2009-08-20 22:20 | ・Rock / Folk | Comments(0)  

JAGATARA 「君と踊りあかそう日の出を見るまで」 ('85)

南蛮渡来」 リリースの翌年、1983年にバンドのフロントマンである江戸アケミは精神疾患を患ってしまい、精神病院に入院することになる。ただ、入院直前までバンド活動は続けていたらしく、本作はその入院前日の1983年のライブと、入院先から外出許可を得て行った1984年のライブを収録したアルバムとのこと。

全6曲で、前半3曲が入院直前のライブ、後半3曲が一時退院後のライブなんだけど、入院直前のライブが空恐ろしい。ブチ切れそうなテンションでの演奏と、前衛演劇のセリフのような江戸アケミの歌との落差がただごとではない。そうしたシアトリカルな歌唱を終始しているわけではないんだけど、何かが取り憑いてるとしか思えないそのヴォーカルは、聞き手に強烈な印象を残す。

そのような歌を傍で聞いてしまうと、やはり周囲にまで影響を及ぼすものなのか、メンバーの演奏が徐々に狂気を帯びてくるさまにも身震いさせられる。また、一時退院後のライブにて演奏された "少年少女" や "Hey Say" にしても、後の 「ニセ預言者ども」 や 「それから」 に収録されるスタジオ・バージョンよりもずっと良い。決して素晴らしい音質とは言えないが、聞いているうちにそんな些細なことは気にならなくなるほど聞き入ってしまう。



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by bigflag | 2009-08-18 23:09 | ・Rock / Folk | Comments(0)  

暗黒大陸じゃがたら 「南蛮渡来」 ('82)

暗黒大陸じゃがたらは、1979年に江戸アケミを中心として結成されたバンド。結成当初は江戸&じゃがたらと名乗っていたそうで、その後、改名を繰り返し、最終的に JAGATARA となる。本作が 1st アルバム。

僕と JAGATARA の出会いは、ナンバーガールが 「Sappukei」 をリリースした頃のインタビュー記事の中でのこと。どの雑誌かは忘れてしまったんだけど、"Urban Guitar Sayonara" が JAGATARA を想起させる、というようなことをインタビュアーが言っていたと思う。当時の僕といえば、ナンバーガールにドハマりしていたこともあって、その記事にすかさず反応して本作を手に入れた。

その記事の中で、JAGATARA は聞いたことがないと向井は答えていたが、ニューウェーヴの影響を感じさせる "Urban Guitar Sayanara" に、インタビュアーが JAGATARA の姿を見たとしても確かに不思議ではない。というのも、本作で聞けるサウンドは、いわゆるニューウェーヴ・ファンクで、Gang Of Four や Pop Group、James Chance など、パンキッシュなファンクをやっていた同時代のミュージシャンと共振するものだからだ。そう、JAGATARA は 「Num-Heavymetallic」 を20年早くやっていたのだ。

A Certain Ration や 23 Skidoo など、ブログで何度か取り上げているように、ニューウェーヴ・ファンクは個人的なツボということもあって、本作もまた大好きなアルバムのひとつなんだけど、JAGATARA に強く惹かれる理由には、そうした形式的なものを越えたところにある。それを言葉で表現するのは難しいことだが、それは音や言葉に込められた密度の濃さや熱量の多さのようなもので、それこそリスナーへ感染するほどに力強いエネルギーが JAGATARA の音楽からは放たれている。また、バンドのフロントマンである江戸アケミが発する言葉の数々はどれも鋭く、そして孤独だ。

そうした感染力のある熱のようなものは、オープニングの "でも・デモ・DEMO" を聞けば即座に感じることができるはず。江戸アケミの "あんた気に食わない" という一言に始まり、次いでバリトン・サックスが咆哮する曲の立ち上がりからして、その印象は強烈。また、つんのめるような性急なスピード感の中、Fela Kuti の "Zombie" から拝借したギター・カッティングを中心に形作るアフロ・グルーヴは、ギリギリのところで全てが成立している、このバンドならではの危うさを感じさせ、そこには江戸アケミのパーソナリティの一面が凝縮している。有名なフレーズである "日本人って暗いね" など、ヒップホップでいうところのパンチラインが一曲の中に何個もあり、江戸アケミによる歌詞のインパクトも非常に大きい。JAGATARA の場合、拙い言葉を尽くすよりも、その音を聞いてもらう方が遥かに早いので、ニコニコ動画にアップされたライブ映像を見てもらうのが一番良いかも。まさにカオス!!!(笑)

向井秀徳は、都市生活者の孤独を "冷凍都市の暮らし" というフレーズで繰り返し表現しているが、M4 "タンゴ" にもそれと共通するイメージを喚起させる。時代は移ろえど、そうした感覚というのは、さして変わらずに存在するということなのだろう。しかし、繰り返される音と言葉が呪術的な "クニナマシェ" を聞くと、江戸アケミというのは、ある種シャーマンに近い存在だと感じる。ダブ処理された音響も格好良い。その "クニナマシェ" のライブ映像を YouTube にアップした人がいることに、ついさっき気がついた。感謝。

   

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by bigflag | 2009-08-17 01:14 | ・Rock / Folk | Comments(0)  

Jimi Tenor & Kabu Kabu 「4th Dimension」 ('09)

フィンランド人ミュージシャン Jimi Tenor と アフロファンク・バンド Kabu Kabu とのコラボ第二弾。前作 「Joystone」 に引き続き、FCQ の Jukka Escola が参加している。Pan Sonic などで有名なフィンランドのレーベル Sähkö Recordings からのリリース。

Fela Kuti を思わせるヴォーカリストを起用するなど、前作よりもアフロ色を強めた内容で、パーカッションを生かした曲も多く収録されており、Kabu Kabu との関係性が深まったことを感じさせる仕上がり。前作にあった南国系のムードは払拭され、アフロ色と同時に、サイケデリック・ミュージックの要素も強くなっている。緩くてキテレツなサウンドは相変わらずだが、徐々にズブズブと深度を深めていくグルーヴがクセになる一枚だ。(試聴



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by bigflag | 2009-08-12 23:48 | ・Brasil / Africa | Comments(0)  

Jimi Tenor & Kabu Kabu 「Joystone」 ('07)

Ubiquity からリリースされた、フィンランド出身の音楽家 Jimi Tenor と アフロファンク・バンド Kabu Kabu によるコラボ作。Jimi Tenor のことは本作で初めて知ったんだけど、90年代には Warp Records から作品をリリースしていたこともある人だそう。一方、Kabu Kabu は、Fela Kuti との活動経験のあるパーカッション奏者 Nicholas Addo Nettey を中心に結成されたバンドとのこと。この作品に興味を持ったのは、The Five Corners Quintet の Jukka Escola と Timo Lassy の二人が参加していたことを知ったからなんだけど、ここで聞けるサウンドは FCQ とは全くの別物で、あえて言うならジャズ・ファンクか。

Sun Ra や Parliament などの宇宙音楽的な要素も強くあり、浮遊感のあるスペイシーなキーボードやシンセサイザーの音色が心地良い。リズムは、Kabu Kabu が得意としているであろうアフロビートやサンバなどのポリリズムが随所に取り入れられており、ノリの良いファンキーなサウンドに仕上がっている。ただ、ダンサブルというわけではなく、カリブ系の緩さを感じさせるあたりがポイントで、それが Jimi Tenor の個性なのだろう。緩めでキテレツなサウンドが非常にユニークだ。(試聴



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by bigflag | 2009-08-09 23:57 | ・Brasil / Africa | Comments(0)  

Akoya Afrobeat 「P.D.P : President Dey Pass」 ('07)

2002年にNYで結成されたアフロビート・バンド、Akoya Afrobeat の2nd アルバム。メンバー構成は、アメリカ、ナイジェリア、南アフリカ、ベニン、そして日本人を含む13人。ベニン出身でリードヴォーカルを務める Kaleta は、ギタリストとして Fela Kuti & Egypt 80 に参加していた人物なのだそう。

また、Fela Kuti のアルバム・ジャケットを手掛けていた Lemi Ghariokwu (レミ・ハリオク) によるアートワークもアフロビート・ファンには嬉しいところ。アルバム・ジャケット含め、Fela Kuti のオリジナルに忠実なサウンドなんだけど、ひと際異彩を放っているのが、ラテン色の強いパーカッシブな高速アフロビートである "B.F.B.F. -PANAMA-"。これがまたやたらと格好良い。やはり Fela Kuti のオリジナルでは聞けないアフロビートを聞くことが出来たときが一番ワクワクする。

とはいえ、オリジナルに忠実な "Fela Dey" も熱気に溢れた曲で、特に終盤の迫真のアンサンブルやコール&レスポンスは本作のハイライトのひとつだ。NYで結成されたアフロビート・バンドといえば、Antibalas が即座に思い浮かぶけれど、Akoya Afrobeat も Antibalas と同様、強烈なフロントマンの不在は致し方がないところなのか。(試聴



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by bigflag | 2009-08-06 23:04 | ・Brasil / Africa | Comments(0)  

Seun Kuti & Egypt 80 「Many Things」 ('08)

Fela Kuti の息子、Seun Kuti (シェウン・クティ) のデビュー作。1983年生まれの末っ子で、9歳の時には早くもフェラの率いる Egypt 80 のバックボーカルの1人としてステージに立つようになっていたのだそう。フェラはバリバリの一夫多妻制だったので(笑)、一足先にデビューしている Femi Kuti は異母兄になるのだろうか。それにしても、こんなに野生味のある野太い声というのは久しぶりに聞いた。これこそまさに血のなせる技。親父の後継者としてバンドを譲られたのも分かるというもの。また、Femi Kuti よりもアフロビート・マナーに忠実なサウンドで、ある種 "伝統芸能" として、Fela Kuti 直系のアフロビートを引き継いでいこうという強い意志が感じられる。

ただ、ひとつ残念なのは、父親譲りの声ほどには、サックス/鍵盤奏者としてはあまり存在感は感じられないことか。サンプリングされるほど印象的なソロを連発していた Fela Kuti と比べるのは酷かもしれないが。これは AntibalasAkoya Afrobeat などのアフロビート・フォロワー全般に言えることではあるんだけど。フロントマンとしての存在感は十分に放っているので、あとはサックス/鍵盤奏者として、また作曲者としての今後の成長に期待したいところ。下のライブを見れば分かるけど、Egypt 80 はやっぱりスゲエな。(試聴



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by bigflag | 2009-08-03 22:54 | ・Brasil / Africa | Comments(0)