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ASHRA 「New Age Of Earth」 ('76)

メンバーの死を機に、ドラッグから足を洗った (洗い切れてないのだけれど) 男が、とある時代のある日、夜明けからその一日の終わりまでを、ほぼシーケンサーとキーボードのみで、音楽化した、かもしれないアルバム。ある個人の視点から始まり、徐々にその焦点がぼやけて、定まらなくなって行き、最後には全体を俯瞰するような視点まで上り詰めて行く。が、そこには緊張感はなく、ただひたすらに弛緩した状態で頂点に到達する。そして、アルバムの終わり間近には、また個人(感情)が出てくる。そんな視点の推移を感じさせる。

気持ち良い、心地良い、桃源郷、快楽主義、酩酊状態、トランシー、スペイシー。そんな言葉で形容される作品だが、とりわけ1曲目の 「Sunrain」 の心地良さったらない。ラストは悪酔いだが(笑)。アフロ・アメリカンの宇宙観を 「情緒的/感情的」 あるいは 「希望や願望」 をベースとするなら、ドイツ人の宇宙観 (というよりも宇宙描写と言った方がより正確か)は、感情をできるだけ排除した俯瞰的/客観性がベースになっているように感じる。ただし、作曲者たちの多くがヘロヘロ状態だったり、キメキメ状態だったりするので、かなり歪んではいるけどw(試聴

# by bigflag | 2004-11-14 00:10 | ・Ambient / Chill Out  

Sun Ra 「Cosmos」 ('76)

サン・ラーは土星から地球にやって来たと公言していた音楽家。自らの出自をそう語っていたサン・ラーだが、やっぱり、こう思っていたんじゃないか。「俺、本当は地球人なんじゃねーの?」 って。だからサン・ラーの音楽は、勝手知ったる宇宙を表現している音というよりも、どうにかして宇宙と交信しようとしている音に聞こえる。自分は土星から来たんだから、宇宙とコンタクトを取れるはず。それを証明するために、あの手この手で宇宙と交信しようとして、あんなとんでもない音を創造していった。そんな気がする。

このアルバムは、サン・ラーの創造した音の中でも、アヴァンギャルドな要素が薄く、最も聞き易い作品の一つ。一番長い曲でも7分しかないし、M1 「The Mystery Of Two」 も疾走感あふれるスウィングで抜群の掴み。サン・ラー入門にはうってつけのアルバムだと思う。全曲に渡り、ほとんど休むことなくサン・ラーが弾き続けるロックシコード の くぐもった音が、妖しさを味付け、ここ (地上) ではない何処か (宇宙) を、ジャズの力を借りて表現している。青を基調としたアルバムのジャケットも非常に美しい。

# by bigflag | 2004-11-07 13:59 | ・Cross Over / Fusion  

一月の現状

個別指導には基本的に、成績の良くない子供が入塾してくることがほとんどであり、
有名進学塾や地元で評判の良い塾などから漏れた子供の受け皿として社会的に機能している。
しかし、学習塾とはいっても、その多くが、ただの受け皿で終わっているのが現実のようだ。

ただの受け皿で終わってしまう原因は2つ考えられる。1つは講師の多くがアルバイトであること。
アルバイトには成績を上げる義務がないから、懇切丁寧に教えることまではしない。
2つに親が子供を塾に入れた時点で、自分の義務は終わった、と考える人が多い。
ほぼ、この2点に集約されている。

もちろん子供本人の努力不足も大いに関係はあるんだけれど、そこは意識を変えるための
(子供、親ともに)話の持って行き方次第で、いくらでも変えられることが、この8ヵ月で
分かった。要は環境次第なのだ。

その2点が不幸にも絶妙に混じり、中学の3年間を過ごした子供は、
「私は忙しかった」を英作せよ、という問題にこう答える。・・・「I am busyed.」
*受験直前の今年の一月のことだった

これはゴボウ塾に3年間も在籍してしまったH君の話。

# by bigflag | 2004-11-04 19:06 | ・学習塾  

くるり in 関西学院大学 後夜祭ライブ

午後6時の開演後、「ワンダーフォーゲル」と「マーチ」とで、まず掴み。MCを挟んで、新曲を2つ披露。新曲は両方ともに、シングルのB面に入りそうな感じの曲だった。続いて、「ばらの花」。オリジナルよりもラストを引っ張って、ずっと聞いていたくなるようなミニマルな展開。

その後はしばらくミドルテンポの曲を演奏。その一連の流れの締めの曲が最高だった。岸田のプログレ趣味全開のアレンジ (オリジナルを知らないから、多分)で息を飲む。David Bowie の「Moonage Daydream」を彷彿させるようなギターだった。あと民謡のカバーもしてたな。サポートメンバーのピアニカの味わいある響きが印象的。

MCで仕切り直し、「水中モーター」。曲が終わるに近づき、バスドラが強調され始め、そこから一気にファンク・モードの「ワールズ・エンド・スーパーノヴァ」で20分近くジャムり、みんなを乗せまくる。岸田が「スイングして粘るベースライン」とコールしたら、佐藤がベースでそれにレスポンスを返すとこなんか、本当にファンキーで最高だった。この曲では、サポートメンバーのキーボードがかなりフィーチャーされてた。他の曲だと、音が小っちゃくてあんまり聞こえなかったけど。

MCで小休止の後、爽やかな曲やって、「春風」にて一旦終了。アンコールは2曲だったかな。最後は「東京」を演奏し、午後8時ちょうどに閉演。そーいや「東京」の演奏前にYESの「Round About」のイントロを遊びで弾いてたっけ。好きなんかな、YES。あとMCは良い感じにウケてた。電車ネタ多し。

最近、くるりをそんなに聞いてなかったから、知らない曲も多かったけれど、大満足。特に大好きな「春風」を聞けたのが嬉しかったな~ ライブではあんまり演奏しないみたいだし。寒い中、良い演奏を聞かせてくれた岸田(半袖!)、他メンバーに感謝。

# by bigflag | 2004-11-03 23:51 | ・音楽メモ  

Derrick May  「Innovator」 ('96)

デリック・メイが '87~'91年までに発表した曲を編んだベスト盤。デトロイト・テクノには創始者と言われる人物が3人おり、その中で最も美しいメロディを作るのがこの人、デリック・メイ。他2人は、Juan Atkins (ホアン・アトキンス) と Kevin Saunderson (ケビン・サンダーソン)

デトロイトのゲットーで生まれ育つとは、どういうことなのか。そこには、貧困と犯罪に囲まれた非常に過酷な状況が待っており、それは生まれながらにして絶望を背負う、ということを意味するのだそう (デリック・メイは出身こそ中産階級らしいのだが)。こうした状況に対して音楽で意志を表明する。そうした土壌がデトロイトにはあるのだ。

デリック・メイは、その絶望を現実への怒りとして激しい音で表現するのではなく、現実を一瞬でも忘れることのできるような音、つまり、地上(=現実)を離れ宇宙に思いを馳せることができるような音を選んだ。だから、そのメロディは刹那的であり、甘く美しい。それと同時に深い哀愁を感じさせるものでもある。(試聴

# by bigflag | 2004-11-03 08:20 | ・Club Music